被災者の人命格差(見聞録)
12日、中国四川省で発生した大地震は同省だけでも死者が1万人を超える勢いで被害が明るみになりつつある。校舎が崩壊し、生徒900人が生き埋めになっているとの情報もあるが、交通、通信が遮断され、その被災情報は限定的だ。
北京五輪を3カ月後に控えた中国政府にとっては過酷な試練となるが、胡錦濤国家主席は人命救助を最優先に掲げ、温家宝首相を被災地に派遣。人民解放軍や武装警官ら9000人も現地へ向かった。
日本政府も救助、医療チームの派遣を決め、水や食料の援助も打診している。
海外から差し伸べられる支援の手は、聖火リレーに見られた「狭隘」な民族主義の緩和剤となりえる可能性を秘めているだけに、中国政府が海外支援をどう受け入れるのか、注目したい。
◇一方、サイクロンの被害が甚大なミャンマーはさらに深刻だ。犠牲者が10万人に上るとみられながら、軍政は海外支援の受け入れを拒んでいる。
海外援助チームなどにビザ(査証)を発行せず、人的支援を拒否。表向きは受け入れ態勢が整わないとの理由だが、実際は人権無視の国情が海外に漏れるのを警戒してのことだろう。
軍政は食料などの物資は受け入れているが、世界食料計画の調べでは、食料援助の8割以上が被災地に行き届いていない。
現地には清潔な水も食料も、医薬品も届かず、餓死や病気の蔓延が危惧され、被災者は軍政の愚行に苦しめられている。
昨秋の民主化デモにおける軍の弾圧に見るように、軍政はこの大災害下にあっても、人命より体制維持を優先している。
◇アメリカ、イギリス、フランスは国連安全保障理事会で、ミャンマーの国際機関や援助関係者の受け入れを協議しようと提案したが、見送られた。
というのは、人権問題に安保理が踏み込むことに懸念を示す中国やロシアなどが反対したからだ。
中国政府はミャンマーの軍政を支援し、一番の影響力を持つことで知られるが、デモ弾圧や今回のサイクロン禍でも、何ら効果的な働きかけを行わなかった。
◇中国政府は大地震の被災者支援はもちろん、影響力のあるミャンマーに海外支援を受け入れるよう圧力をかけ、一人でも多くを救えるよう尽力すべきだろう。人命に格差を設けてはならない。それが、五輪開催国家として国際社会の仲間入りする条件ではないだろうか。
2008年05月13日 19:04 | パーマリンク
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