パンダ外交のもの笑い
仲よくすることはいいことだが、国と国との外交は国益と国民の感情に関わるから無原則に結構ですな、と喜んでもいられない。
中国から国家主席の胡錦涛さんが訪日したが、熱烈歓迎どころか、国民の心は冷めきっている。
福田首相と与野党幹部のへっぴり腰に比べると、国民の方が遙かに健全な対中意識を持っている。
それにつけても、バカに「しんにゅう」をつけたような話ではないか。日中友好は口先だけの外交辞令ではない。国民の腹の中には、煮えくり返るような嫌な反日の数々が記憶にある。
さし当たっての重大関心事についても、例の毒ギョーザ、東シナ海のガス田開発、チベットにおける人権侵害と長野における聖火リレーの中国学生の暴力的排外事件は生々しい。
中国側の過去の目に余る反日デモや靖国への侮辱、脱北者の日本領事館内逃亡に関する主権侵害や、日本の公館破壊、あるいは反日デモや国際試合での日本の国旗焼却事件など、数えあげたらきりがない。
そうした不愉快な事件や国家の独立と威信に関わる外交問題を、つがいのパンダで帳消しにしようとは何たる浅ましいフヌケざまか。
国民の不信どころか、世界のもの笑いのタネとなる福田首相へは最早や申す言葉もない。
◇福田さんの腰抜け外交は、彼が小泉内閣発足時の官房長官時代にすでに鮮明となった。
小泉さんの努力で、北朝鮮から拉致被害者5人が日本の土を踏んだとき、福田さんは5日間の滞在後、5人を再び北朝鮮へ返すことを主張した。あやうく、そうなりかけたとき、安倍さん(当時、幹事長)の強い政治力で5人の送還を断固拒否した。拉致被害者救済と、その後の真相追及の歴史的幕開けだった。
中国は、靖国参拝の口約を守った小泉さんにいちゃもんをつけてきたが、福田さんは沈黙を守りながら、与党の親中派や親北朝鮮派と通じて、結果的には反小泉、反安倍に利用され、かつがれてきた。
◇今回の日中首脳会談は日本の首相として、その真価を世界に披露するチャンスであったが、国民の期待は大外れで、パンダ外交として後世に屈辱的話題を残した。
なぜ、日本の首相として堂々と毒ギョーザ事件の中国内部説を強調し、中国内での徹底調査と責任を追及しなかったのか。
なぜ、チベットの人権問題を取り上げ、世界平和への熱い発信をしなかったのか。東シナ海のガス田開発にしても前向きに仲よくしようとする体の、まあまあ外交でお茶を濁しただけである。
◇しかし、胡主席との会談については、野党の党首もみんなだらしがない。彼らは口でいうのと行動が反している。
小沢民主党代表は、さきの訪中で、参加した400人に主席が握手してくれた、とお辞儀するだけで、チベット問題にふれずじまいだった。公明党の太田代表はチベット問題で当たり障りのない言い方で、平和的な解決を要望したが、逆に首席から「対話の扉は開けている。ダライ側が暴力や五輪妨害を停止すべき」と、その宣伝を引き出した。共産党の志位委員長は、人権問題を強くアピールせず逆に、対話が再開できて歓迎、と持ち上げた。
社民の福島党首は日本の憲法と平和を守る党の宣伝をいうだけで、中国の軍拡や人権侵害などには沈黙した。4野党党首はみんな尾を振って家来同然の醜態を見せたが、国民は何と評価するか。【押谷盛利】
2008年05月08日 16:06 | パーマリンク
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