滋賀夕刊新聞社は滋賀県長浜を中心に政治、経済、文化の情報をお届けする新聞です。



建て直すための設計

 年金の問題や長寿者の医療保険などが、けんけん、がくがく、国民総議論の対象になっている。
 言うなれば、高齢者社会に突入して、国も国民も尻に火がついた感じである。
 悪いことは政治のせいだ、と一方的に非難することは避けたいが、現在のもろもろの矛盾や百鬼夜行めく役人天国の黒いかげは、上り坂だった戦後経済の落とし穴であり、それに便乗した政治と政治家の投影である。
 そして、政治家と役人の泣きどころをとらえた経済人の欲ぼけの結果でもある。
◇年金の掛け金を払っていない人たちがいる。まじめな国民から見ればウソのような話だが、こういう人は受給できる年齢に達しても年金をもらうことは出来ぬ。
 こういう人を無年金というが、これではかわいそうだから、無年金の人にも渡せるようにしては、という話が持ち上がっている。
 ふざけるでない。それならまじめに掛けている人はどうなるのだ。こんなことがまかり通る世であれば、なににしろ、払わん勝ちの風潮を招くのではないか、と反発する声がある。
 いや、待てよ。無年金の人を放っておくと、生活保護法の方から救済せねばならなくなる。年金を渡す方が生活保護法の金より安上がりになるから…、と話は深刻になる。
 ところで無年金者を救うにはその分、カネがかかるが、それはどこからひねり出すのか。
◇いま評判の悪い後期高齢者医療保険も年金から天引きできる人はよいが、年金もなければ所得もないとあれば、この人たちの医療はこれまた生活保護法にたよるしかない。
◇病気になったときの治療のため、職場の健康保険や自由職の人らの国民健康保険制度があるが、これらに加入していない人もあるし、加入していても保険料未納の人もいる。保険がかかっていないからといって救急医療で運ばれてきた人を診察し処置しないわけにはゆかぬ。じゃ、そのカネはだれが負担するのだ。どこから出るのか。となると、これまた厄介である。
 議論の果ては、最後は国が面倒を見るより仕方がないではないか。そんなおめでたい議論ならカネのなる木を探してこい。
 ほいきた。それそれ。カネのなる木は消費税よ。これを上げさえすれば万事がまるくおさまる勘定。いまは5%だから、10%、いや、同じ上げるなら15%、20%に、と国民の暮らしなど眼中にない捕らぬタヌキの皮算用。
◇日本のこれまでの政治は常にこのようないい加減さで、最後のつけは国民のふところねらいだった。
 国民も右肩上がりの景気に安住して、いいとこの旦那のように、あれもよし、これもよしと応ように構えてきた。
 その応ようさのせいで、とんちんかんな政治や国民不在の役所仕事にも文句一つつけるでなく、なるようにしかならんわいと、それこそ長者かお大尽気取りで太平の眠りをむさぼっていた。
◇だから、盗人に仕事をさせたような年金保険庁の増長を許し、ろくでもないことにカネを湯水のごとく使ってきた道路特定財源を見逃したり、不信だらけの道路会計と道路族議員の横行を許してきた。
 この国は今もって役人天国であり、官僚は表は政治家に尾を振っているが、裏では政治家をアホ扱いにして、最後は国民のカネで帳尻を合わせる。
 驚くなかれ、こんなまやかしの国民不在のおどろおどろしい政治が、自由と民主主義の美酒を浴びながら戦後一貫して続いてきた。
 その口惜しさ、不満があるからこそ大阪府の橋下知事への支持率が70%にも80%にもなっているのだ。
 白アリで土台が腐ってきているのだから建て直すしかないが、設計の基本は正直ものがバカを見ぬシステムであろう。【押谷盛利】

2008年04月23日 13:50 |


過去の時評


しが彦根新聞
滋賀夕刊電子版
滋賀夕刊宅配版
滋賀夕刊デジタルトライアル
“新聞広告の資料請求、ご案内はこちらから"
 
長浜市
長浜市議会