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比叡山で学んだ心得(見聞録)

 比叡山ドライブウェイが開業50周年を迎えたというので、ドライブがてらに出掛けた。山道にはまだ、満開の桜が残り、空気は肌寒かった。
 山頂では色とりどりの花を咲かせた「ガーデンミュージアム」がオープンしたばかり。園内は花だけでなく、ルノワール、ドガ、ピサロ、セザンヌ、モネ、ゴッホといった19世紀の印象派の画家の作品が野外に並べられ、花と絵を合わせて鑑賞できる、ちょっと風変わりな趣向だった。
◇その帰りに訪れた比叡山延暦寺でありがたい法話を聴く機会に恵まれた。
 延暦寺は約1200年の伝統を持つ天台宗の総本山。平安時代初期の僧侶・最澄が788年に開いた。多くの名僧を輩出したことで知られ、浄土宗の法然、浄土真宗の親鸞、臨済宗の栄西、曹洞宗の道元、日蓮宗の日蓮らが同寺で学び、さながら仏教の総合大学のよう。
 一度は信長の焼き討ちにより焼失したが、豊臣秀吉や徳川家康によって再建され、中核の根本中堂は三代将軍・家光の手で建立された。ユネスコの世界文化遺産にも登録されている。
◇そういう深い歴史を持つ延暦寺の住職から聴いたありがたい法話では、人が生きて行くうえで心に留め置くべき3つの心得を説いていた。いずれも最澄の言葉。
 一つ目は「道心」。正しい生き方を常に求める心のことで、最澄はその教えの中で「国宝とは何者ぞ、宝とは道心なり、道心ある人を名づけて国宝となす」と語っている。
 二つ目は「忘己利他」。字の通り、何事につけても自身のことはさて置いて、人のために尽くせとの教えで、最澄はそれを「慈悲の極み」と説いている。いわば究極のボランティア精神だろう。
 三つ目は「一隅を照らす」。まずは自身の周りを明るく照らすことを考えよ、皆が自身の周りを照らせば、全人類、地球が輝くではないか、という意味。それぞれが自身の道を、持ち場をしっかり守り、生き抜くことが世のためになる、という教えだそうだ。
◇今月3日、大塚産業グループの新入社員一同が長浜市役所を訪れ、図書10万円分を寄贈した際、目録を受け取った北川貢造教育長が「利他」の心構えで社会貢献して欲しい、と新入社員にエールを贈ったが、1200年前の最澄の教えは、現代の世にも通じている。
 これらの教えは未来へ渡って受け継がれるべきであり、学校教育、例えば、社会や日本史の授業の中で、取り上げることも、「道心」の醸成につながるのではないだろか。

2008年04月22日 13:48 |


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