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善光寺を見習うがよい

 北京オリンピックの前奏曲・聖火リレーが国際的な抗議や妨害を受けて、中国の威信を失墜させている。
 聖火リレーが日本に来るのは今月26日であるが、その長野聖火リレーを前に出発地の善光寺は18日、出発地の辞退を表明した。
 トラブルなどが起きて参拝者に迷惑がかかっては、との警備面での不安が表向きの理由だが、実際はチベット仏教に対する中国の弾圧への抗議である。人権と平和を担保するはずの北京オリンピックが、報道陣をシャットアウトして、チベットの人権を蹂躙している中国政府によって裏切られたことは国際社会の怒りを買って当然である。
◇聖火リレーは世界5大陸、21都市を巡っているが、欧州各国はもちろん、アメリカにおいても祝福どころか抗議や妨害の渦が巻いている。すでに、英、独など7カ国の首脳が北京五輪の開会式の不参加を表明しており、なぜ、オリンピックを北京に許したのか、と批判の声が世界に溢れている。
 本来、聖火リレーは、オリンピックへの期待と称賛をアピールする前奏曲であり、歓迎と祝福の波で迎えられるものである。
 ところが、今回に限って、中国の人権侵害を怒る声が聖火リレーの妨害行動に点火した。
◇いま、世界から異様な眼で見られているのが、聖火ランナーの前後左右を防衛しているように並走する青いスポーツウェアを着た中国人の集団である。
 これは聖火リレーが妨害にあって消されてしまうことを恐れた中国側が用心棒の集団を派遣しているもので、「聖火の管理」を目的としている。
 祝福されるべき聖火が妨害されることを恐れての防衛つきリレーとなったが、世界のもの笑いであり、中国の面目かたなしといってよい。
◇ところで、聖火リレーどころか、開催地の北京で、とんでもないスポーツの統制大会が話題になっている。
 20日、マラソンのテスト大会が北京で行われた。天安門広場から国家体育場までの五輪コース(42㌔)を選手50人が走ったが、警察官のほかボランティアを含めて数万人の警備員が大通りを2㍍間隔で妨害に備えた。
 天安門広場周辺は厳重に通行が規制され、道路はスタート1時間前の午前6時半から通行止め。周辺の地下鉄は天安門広場寄りの出口は封鎖され、一般市民はスタート地から排除された。取材証を持った記者も足止めされ、抗議した外国人カメラマン3人が警察の車で連れ去られたという。
 沿道には多くの市民がつめかけたが、みな、そろいの帽子を被り、大雨にもかかわらず、じっと応援していたから、おそらく当局の指示で動員されたのでは、と思われたようだ(21日、産経参照)。
◇ぼくは、長野聖火リレーの出発地を辞退した善光寺さんの僧侶の英断を称賛するにつけても、分からないのは日本の仏教団体のフヌケぶりと人権や平和を仕事のように叫ぶ連中及び中国参りに熱心な政治家の態度である。
 仏教団体は、靖国の話になると、中国のお先棒をかつぐかのように、首相の靖国参拝を反対するくせに、中国のチベット仏教弾圧や人権蹂躙には、何らの抗議声明や行動を起こさない。
 日本の政界の中には、過去2回も流れた「人権法」をまたぞろ国会へ出す動きがあるが、その推進役になっている議員らはなぜか、中国の人権侵害には目をつむっている。チベットでの人権蹂躙は「中国の国内問題」とばかり、まるで中国のお抱え政治家のようなポーズである。
 日本のマスメディアの中にも、中国の都合のいいことは大々的に報じ、都合の悪いことは極力小さく扱うか、避けるようにしている。
 どこの国籍をお持ちかと疑いたくなるが、その点、善光寺さんは「えらい」。【押谷盛利】

2008年04月21日 17:32 |


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