チベット弾圧と日本
中国の毒ギョウザ事件にしろ、チベットでの弾圧にしろ、日本の政府や政治家はフヌケの如くだらしがない。ことに日本を代表する福田康夫首相の中国に対するへっぴり腰は日本の国際的信用を落とすばかりか、もの笑いのタネにさえなっている。
ギョウザ事件に対する日本政府や政治家、それにマスメディアのだらしなさについては別の機会にゆだねるが、我慢のならぬのがチベットの弾圧に対する中国寄りの姿勢である。
◇チベットのラサでは、29日再び大規模なデモが発生した。14日の抗議デモと騒動は中国軍の武力によって鎮圧されたが、民衆の中国政府をのろう怒りの声は燎原の火の如く燃えさかる勢いで、29日は数千人の規模にふくれ上った。
しかし、これまた軍の戦車など武力で解散させられた。その翌日の30日、今度はオリンピックの発祥地・ギリシャのアテネで、北京五輪の聖火を中国側に引き渡す式典の最中、会場の外で中国のチベット弾圧に対する抗議行動があり、20人以上が逮捕された。
これは北京五輪の開会式ボイコットを各国首脳に要請している国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(本部パリ)」のロベール・メナール会長の指導によるもので、同氏は産経新聞の記者に「欧州で開会式不参加を表明する国が増える中、アジアの大国、日本のボイコットは意義がある」と述べ、福田首相にボイコットへの期待感をにじませた。
メナール氏は五輪自体のボイコットを訴えているのではない。人権無視の北京で政治指導者らを満足させるだけの見せ場である開会式のボイコットが目的だ。日本の首相にも開会式の3時間半だけ空席にしてもらいたいだけと述べている。
◇中国の人権侵害に抗議する声は世界にひろがっているが、ヨーロッパではドイツ、ポーランド、チェコ、エストニア、スロバキアの首脳が開会式欠席を表明している。フランスのサルコジ大統領は不参加もあり得るとして圧力を強める姿勢を見せている。
また、欧州連合(EU)は29日の非公式外相会合で、チベット自治区での弾圧を直ちに中止するよう中国側に要求する声明を採択した。ブッシュ米大統領も中国の胡錦涛主席と電話会談し、ダライ・ラマ14世との対話を要請した。
チベット仏教の最高指導者・ダライ・ラマ14世は5月に訪英し、ブラウン英首相と会談するが、同じ時期、日本の福田首相は胡錦涛主席を招き会談する。
人権無視、弾圧の張本人と会談する感覚もさることながら、福田首相から、中国ギョウザの輸入禁止のリーダーシップを聞いたことがないし、チベットの事件についても「声高に中国を批判したり、北京五輪と関連づけることは適当でない」、との煮え切らぬ態度が世界から笑いものにされているのでは。
◇インドPTI通信の外信による情報では、チベット自治区の騒乱について、「中国軍の兵士数百人が僧侶姿に変装して行った可能性がある」との「やらせ説」を報道している。ニューデリーでのダライ・ラマ14世の記者会見の記事だが、こういう深刻なニュースに世界の良識が集中しているときだけに、日本政府や日本の政党の姿勢が嘆かわしい。
経済大国・日本及び日本首相の存在感が薄れつつあるのは恥ずかしいことでもある。それに、日本の新聞は、取材の自由を許さない中国であることを知りぬきながら、中国政府や中国の国営通信や国営新聞の話を真実めかして報道しているのは情けない。【押谷盛利】
2008年04月02日 17:02 | パーマリンク
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