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8紙の論調 読み比べ(見聞録)

 18日付けの朝刊各紙のトップ記事は、イラクでの航空自衛隊の活動について、名古屋高裁が違憲判断を示したニュース。
 空自は昨年6月のイラク特措法改正で活動が2年間延長されたのを受け、クウェートからバグダッドへの輸送などを担当している。
 裁判は市民グループのメンバーらが、国を相手取り、派遣が憲法違反であることの確認を求めたもの。判決では、原告の訴えを棄却したものの、バグダッドで武力衝突が起きていることを指摘し、特措法の「戦闘地域」にあたると認定。そのうえで、「多国籍軍の武装兵員を戦闘地域であるバグダッドに空輸する活動は、他国による武力行使と一体化した行動で、武力行使を行ったとの評価を受けざるを得ない」と結論付けた。
 この判決に対する各紙の社説を読み比べると―。
◇嬉しさを爆発させているのは朝日新聞。写真入りのトップ記事のほか、社会面でも写真2枚配置など計7ページで関連記事を掲載。社説では「武装した米兵を輸送しているのに、なお武力行使にかかわっていないと言い張れるのか」と判決を評価し、「高裁の司法判断は重い。判決を踏まえ、与野党は撤収に向けてすぐにも真剣な論議を始めるべきだ」としている。
 赤旗も、朝日同様に判決を高く評価し、共産党の穀田恵二国対委員長の「今こそ撤退すべきだ」との声を紹介している。
 毎日新聞は「あいまいな説明は許されない」との見出し。特措法で示す「戦闘地域」の定義のあいまいさ、政府がこれまで明かさなかった空自の具体的な輸送人員・物資の内容について、「国民に丁寧に説明する責務がある」とした。
◇一方、読売新聞は「兵輸送は武力行使ではない」との見出しで、「事実誤認や、法解釈の誤りがある。極めて問題の多い判決文」とバッサリ。原告の請求を退け、違憲確認についても「利益を欠き、不適法」と判断しているのに、主文ではない「傍論」で違憲判断の見解を加える必要があったのかと、疑問を呈している。
 また、多国籍軍による武装勢力の掃討活動が国連安保理決議を根拠とし、イラク政府も支持していることから「正当な治安維持活動にほかならない」と述べ、「イラク空輸活動は、日本の国際平和活動の中核を担っている。空自隊員には、今回の判決に動じることなく、その重要な任務を着実に果たしてもらいたい」と締めくくった。
 産経新聞も同じく「平和協力を否定するのか」との見出しで、「きわめて問題ある高裁判断」と批判。「日本はイラクをテロリストの温床にしないという国際社会の決意を共有している」「国際平和協力活動を違憲という判断は日本が置かれている国際環境を考えれば理解に苦しむ」と指摘し、政府が表明している活動継続を「当然なこと」としている。
◇日経新聞は「集団的自衛権論議を」を見出しに、「集団的自衛権を巡る政府の憲法解釈の無理を浮かび上がらせた」。
 中日新聞は「空自の早期撤退を促すもので、さらには自衛隊の海外『派兵』への歯止めとして受け止めることができる」と評価。「撤退も視野に入れた検討が必要ではないか」。
 京都新聞は「違憲判断に向き合え」との見出しで、情報公開の徹底、空自撤退是非の議論などを求めている。
◇社説から見えてくる各紙の姿勢を整理すると、朝日、中日、赤旗は高裁判断を大きく評価し、毎日も一定評価。日経、京都は異論なし。読売、産経は真っ向批判。
 今、福田首相は、自衛隊の海外派遣を随時可能にする恒久法案をまとめ、今国会提出に向けて調整を進めようとしている。
 昨今の国際情勢を考えれば、日本が海外の平和活動に参加することは欠かせない。だが、過去の湾岸戦争のようにカネを出すだけでは国際社会は認めてくれない。テロや武力衝突の危険にさらされる現地で日本人がどのような形で貢献するのか。
 今回の一高裁の判断に一喜一憂するのではなく、イラク特措法のような期限付きの急造法に変わって随時派遣を可能にする恒久法の整備が欠かせないのではないか。

2008年04月18日 17:53 |


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