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へそ出し、太もも出し

 29日の時評「衣被よもやま話」のうち「きぬかずき」について、その国際性に触れておく。
 きぬかずきは、女性の顔かくしと理解すれば分かりやすいのではないか。頭巾、フード、スカーフなどがそれである。
 日本では平安期以降、上流社会の女性が外出するとき、頭の上に布製のスカーフをかぶった。後にはスカーフだけでなく、着物の上着、羽織のようなものの両袖を左右の手で持ち上げて顔を隠すようにかぶった。
 なぜ顔をかくすのか。女性、とくに若い娘は人前では顔をさらさないという風俗が定着するようになった。それは多分に男性を意識した男性優位社会の慣習化とみるべきで、現在のような自由恋愛観からみれば明らかに女性差別の一種であろう。
◇結婚について、女性は結婚前に男性を知り、理解することは困難で、平安期は男性が女性宅を訪ね求愛した。また、娘の結婚については親、とくに父親の権限が絶対で、父の命ずるままに、父の決めた男性に嫁ぐのが一般的だった。
 この男性優位社会は太平洋戦争に負けるまで続き、上流社会の娘は家から出て就職することは少なく、ほとんど家にいて、教養を深めたり、趣味を磨き、ひたすらよいムコ選びに運命を託した。
◇この顔隠しフードで思い当たるのは、昨年フランスの大学で問題になった女子学生の顔隠し「ノー」の法律である。厳格なイスラム教の娘は顔を隠して登校していたわけだが、フランスは自由国家だから、特定宗教ものだけが顔を見せないというのは自由の国になじまない、と批判されたわけである。
◇イスラム教は7世紀始めにマホメットが創唱したキリスト教、ユダヤ教に並ぶ世界3大神教の一つで、聖典コーランに基づき厳しい信仰や戒律を義務づけられている。
 回教、マホメット教とも呼ばれ、アフリカ、中近東、東南アジアなどを中心に世界に7億の信者を擁している。
◇日本でよく知られるのは、イラク、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦などで、テレビの海外放送で真黒なフード状の顔隠し女性が登場する。
 厳格な男性優位社会で、黒装束で頭から足先まで包んでいるのもあり、顔はもちろん、年齢も想像できない。極端に厳しい国では、女性の独り歩きはご法度であり、外で男性と二人きりで歩くことも許されない。レストランでも家族以外の男女一緒はダメ。家によっては玄関が二カ所あって、男性用と女性用に分けているくらいである。
◇最近は若い学生が自覚し、このような厳しさは人権に反するのではないかと、批判し始め、国によっては緩和しつつあるが、長い歴史を経た宗教的慣習だから、そう簡単に改革するとは考えられない。
 この、イスラム教の女性フードもまた女性を人前にさらさないという男性社会の産物といえよう。
 これは、日韓併合による日本の朝鮮半島統治以前の朝鮮においてもよく似た習慣があり、娘は家に籠もっていて、外へ出ない風習があった。虫がつかぬようにとの日本の「深窓の令嬢」と同じ考えでの社会制度である。
◇そういう封建的な男女差の厳しさを考えれば欧米の先進国は自由と民主主義の世界のリーダーにふさわしい。
 いまの日本の若い女性を見ると、顔を隠すどころか、ヘソや胸まで、足は太ももちゃんまでさらけ出して、あぐらをかいてタバコを吸うありさまである。【押谷盛利】

2008年03月31日 13:33 |


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