チベット民族への弾圧
チベットにおける中国の弾圧は北京オリンピックを前に世界を憂慮させている。
オリンピックは平和と人権をたたえる国際的な祭典だが、不幸にもチベットでは人民の人権が踏み潰され、死者140人、逮捕者数百人、その他負傷者はおびただしい数にのぼるのではないかと報道されている。しかし、中国は外国報道陣の立ち入りはもちろん、自由な取材報道を禁じているから確かな数字は把握できない。
インドに本拠を持つ亡命政府からの情報やチベット地区から帰った旅行客の話を総合して判断している状況である。
◇チベット民族が中国政府に抗議してデモを行うのは正当な理由があるからだ。それは生きる権利を主張する最低の要求で、例えば信仰の自由、職業の自由、貧困からの解放などもその一つで、近年は漢民族の大量進出で、チベット人の経済活動が圧迫されている。
民族自決という思想はソ連の崩壊でその支配下の多くの民族が独立したように、それぞれの民族は固有の歴史と文化、伝統を持ち、他国民族の支配を拒むのは世界史における民族紛争が証明している。
◇世界の平和に脅威をもたらすのはいつの場合も民族紛争が起因しており、今も中東、アフリカ、東南アジアで火種がくすぶり続けている。
民族紛争の最大の因は搾取と人権抑圧である。オリンピックが平和をたたえ、人権の確立を目指す人類の祭典であることを考えれば、今回の中国のチベット弾圧は許されぬ暴挙である。のみならず、自由な取材と真実の報道を禁止する姿勢は全くオリンピック精神になじまない。もともと中国は天安門事件にみられるごとく、政府批判の言論やデモ、集会に武力弾圧する前科があり、今も各地で住民運動が圧殺され、言論人が入獄の憂きめにあってる。
そういう非民主国家、非自由国家においてオリンピックの開催を認めること自体が間違っているのではないか。今からでも遅くない。チベット弾圧を止めなければ北京オリンピックをボイコットすべきである。
◇その点、自由国家のリーダーともいうべき米、英、仏の首脳部は事件を重視し、チベット仏教の最高指導者・ダライ・ラマとの対話を中国に求めており、中国の出方によっては開会式のボイコットもありえることをにおわせている。イギリスのチャールズ皇太子は、いち早く北京五輪に出席しない方針を鮮明にした。
なさけないのは日本の新聞や政治家である。活字になるのは中国の言い分や声明だけで、それもチベットが悪いかのように「暴動」と表現する。
しかし事件はたんなる暴動ではない、弾圧に対する抗議である。江戸時代の百姓一揆と同じである。中国の肩をもつ、そんな言論人や政治家に人権や平和をいう資格はない。【押谷盛利】
2008年03月27日 16:37 | パーマリンク
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