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五輪と報道の役割(見聞録)

 中国政府の圧制に抵抗するチベット内での暴動。同地域では、海外メディアの取材が拒否され、内情が暗闇に包まれている。
 そんな中、ギリシャのオリンピア遺跡で24日行われた北京オリンピックの聖火採火式。北京五輪組織委員会会長の演説中に男性2人が乱入して取り押さえられる事件が発生し、その後のリレーでも抗議行動が相次ぎ、先行きの不安を感じさせた。
 また、中国の著名な反体制評論家や作家ら約30人が同日、チベット暴動への中国政府の弾圧を批判する声明を発表し、波紋を招いている。
 中国政府に対し、チベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世との対話に臨むよう促したもので、チベット暴動で情報規制が一層厳しくなっている中国国内にあって、インターネットの掲示板などに転載され、影響を広げている。
 政府の指示でダライ・ラマへの批判をキャンペーンしている中国メディアに対しても「偏った報道姿勢は民族の対立と憎しみをあおり、状況をさらに緊張させている」と指摘している。
◇1950年にチベットに侵攻した中国政府は徹底的な弾圧でチベット民族を虐殺し、死者は120万人にのぼるともいわれる。
 加えて、青蔵鉄道(青海チベット鉄道)などの交通網の整備、経済政策による漢民族の移入でチベット自治区の中国化を図ってきた。
 今回のチベット暴動は、それら少数民族政策の失敗を意味するものだが、海外メディアの規制という行為は「臭い物に蓋(ふた)」という愚策だろう。
◇今回の暴動に限らず、中国国内には報道の自由がなく、すべてのメディアが政府にコントロールされている。政府の意に反する報道を行ったジャーナリストは逮捕、拘禁される。
 海外メディアに対しても圧力を加え、今回のチベット暴動でも、中国当局が過剰に神経をとがらせ、四川省の少数民族自治州を取材していた記者を、複数の車が尾行し、ホテルでも後をつけ回し、同自治州を離れる航空機にまで当局者が同乗して取材を妨害した、と産経新聞が報じている。
◇少なくとも30人のジャーナリストが拘禁されている中国に対し、世界新聞協会は釈放を求める意見広告の掲載を世界中の新聞に呼びかけている。
 「次の五輪を観戦するつもり?そこでは観られないことが一つある」と訴え、▽政府による土地接収に抗議する村民を報道して10年の刑▽生活水準の低さを批判する記事をインターネットで掲載して2年の刑―という具合に具体例を紹介し、中国政府を批判している。
 なお、この広告は、英、仏、独、露、アラビア語など10の言語で準備されているが、残念ながら日本語はない。日本の新聞社が中国政府への批判広告を載せるわけがないと、思われているのか。

2008年03月25日 14:13 |


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