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とんでもない見当違い

 日銀総裁の空席に見る通り、国会のねじれ現象は政治の停滞を招きかねない、と心配する向きがあるが、そのことは、かつてのように与党の独走が許されぬ、ということであり、国政の大衆化への前進でもある。
 与党の独走が許されぬ、とあっては、いきおい、予算にしろ、法律にしろ、野党との協議、おりあいが要求され、野党の政策や意見が反映されることになる。
 与党と野党の主張のバランスの上に立って国家国民のため、真の民主政治が展開されれば、ねじれ国会はむしろ結構と肯定しなくてはならない。
◇しかし、自民党や公明党の中には、こういうねじれ国会の生じるのは選挙制度の欠陥によるとして、現在の小選挙区比例代表並立制をやめて、元のように中選挙区に戻しては、という意見が台頭している。
 とんでもない見当違いで、以下、中選挙区制の欠点とそれによる弊害を述べる。
 94年に国会で可決した小選挙区制は、非自民の細川内閣のもとでの政治改革として論議され、実現したものだが、それは過去の中選挙区制の弊害からの反省によるもので、極論すれば、中選挙区制は派バツ政治と金権政治に結びつく、ときめつけた。
◇なぜ、中選挙区は派バツと金権政治に結びつくのか。
 全県1区、定数5人の滋賀県のかつての衆議院選を回顧すれば分かるように、政党によらなくても無所属で立つことが可能であり、強い政党は派バツのバックによって、定数いっぱい立てて、身内での血で血を洗う熾烈な選挙戦を演じた。
 この、一党乱立は政権与党の自民党の宿命であり、仮りに党公認が得られなくとも無所属で立って、派バツの丸抱えで選挙にのぞむことがあった。そして、当選した場合は、公認扱いを受けて入党し、その派バツの子分となる。
 また、全県1区といえども、候補者には、比較的有利な地盤がある。有力な候補でも地盤が意図的に荒らされるときは不利となる。こうした選挙事情を前提に、派バツの親分たちが貸し借りの取引をして、それぞれの派バツの当選、拡充を図った。逆に、強い派バツが敵対関係にある派バツを崩すため、敵の派バツの候補の選挙区へ刺客の候補を立てることもある。
◇こうした暗い裏取引のなかで、与党の選挙体制は派バツの親分が取り仕切る。したがって派バツの親分をバックにしなくては選挙に勝てない。親分はその代わり、金と票集めで子分の面倒を見る。
 それでは、多くの現役並びに新人の候補の面倒を見る親分は、どんな金の生(な)る木を持つのであろうか。いわゆる政治資金の源である。
 親分の金集めに奉仕するのはその派の大臣、もしくは大臣候補、さらには有力なる族議員である。族議員は官僚を通じ、財界、業界につながっており、時には政策のさじ加減、ときには、許認可、発注などの利害を通じ、政治献金を吸収する。また官僚の天下り組織を利用して、その組織の影響下にある企業から金を集める。個々の企業ばかりでなく、全国的な団体からの献金もあり、派バツにおいては、集金力が派バツ内の権力と地位にも反映する。
◇派バツの親分は子分を大事にすると同時に、子分からの絶対忠誠心にあぐらをかき、念頭にあるのは、金集めと子分を大臣や党役員に送り込む算段である。
 このための最大、最高の道は、政権交代劇の主役になることと、一年以内の改造内閣の実施及び、大臣の短命制である。ころころと一年以内に大臣を変えることによって大臣の粗製濫造を推進する。こうして、派バツ内の子分を次々と大臣や党役員に送り込む。つまり大臣という餌と金という弾丸の力で子分を強くつないでおく。短命大臣であるから官僚の木偶(でく)の坊となり、その代弁者となる。ここから官僚と政治家(族議員)の癒着が始まる(以下次号へ)。【押谷盛利】

2008年03月24日 14:15 |


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