中国の情報統制に思う(見聞録)
中国政府の圧制に反対するチベット人による暴動が発生してから1週間。現地記者の周辺取材や旅行者の帰国により、徐々に暴動の様子が明らかになってきているが、中国政府の報道規制、情報操作に阻まれて、断片的情報しか得られないのがもどかしい。
チベット自治区では、暴動が発生する以前からマスコミ関係者の入域を認めておらず、亡命チベット政府は、旅行者からの情報提供を頼りに、チベットの現状を世界に発信していた。
今回の暴動の様子も、旅行者の撮影したビデオで明らかになりつつある。一方、中国国内では、政府の統制で都合の良い、チベット人が暴れている映像だけをテレビで流し、新聞もチベット人が暴動を起こしたことを伝えるだけで、その背景にある圧制には触れない。
今、チベット自治区は完全に閉鎖され、外国人の立ち入りは一切不可能。いったい自治区内で何が起こっているのか。
◇中国政府の徹底的な情報統制下では、国民は自由に情報を得ることができない。しかし、近年は裕福層の海外旅行や、インターネットの普及で、限定的ではあるが、政府発表以外の情報を得ることができるようになっている。
このため、国民はチベット暴動の政府発表を信じていないそうだ。というのも、日本の全国紙がチベット暴動に対する中国国民の反応を取材しているが、「正しいのは(新聞の)日付だけ」「政府の説明はうそだ」という言葉が寄せられている。
四川省の聖都でもチベット人による暴動が波及し、「チベット人が銀行を襲撃した」「バスが爆破された」などのデマが流れている。
政府は地元紙を通じて、そういったデマを信じないように呼びかけたが、庶民は耳を傾けず、「政府は信用できない」としている。
◇情報統制は独裁国家や社会主義国家には欠かせず、併せて外国人やマスコミ関係者の立ち入りを制限するのが一般的。
ロシアを含む旧ソ連の国々では外国人旅行者に「レギストラーツィア」と呼ばれる滞在証明書の発行を義務付けている。どの旅行者がどの町に滞在したかを確認するため、ホテルなどの宿泊施設が発行するもので、その証明書が揃っていないと、出国手続きが「面倒なこと」になる。また、マスコミ関係者というだけで、例えプライベートな旅行でも、いろいろと誓約書を書かされる。
◇なにも情報統制や隠ぺいは中国のような独裁政府に限ったことではない。食品偽装事件での企業対応にも見られたし、道路中期計画をめぐる国土交通省の道路需要の見通しなどもその一例だ。
身近な例では、先日、彦根市内の中学校教諭(29)が生徒とみだらな行為をしたとして条例違反で逮捕された件。滋賀夕刊の姉妹紙「しが彦根新聞」が事前に情報をキャッチしたが、取材を申し込んだ彦根市教育委員会は曖昧な返答に終始し、逮捕されてから、記者会見をする始末。
自身の都合を優先し、情報を操作、隠ぺいしようとする行為は、身近なところでも起こりうる。そう肝に銘じる必要がある。
2008年03月21日 13:22 | パーマリンク
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