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中国の抱える民族問題(見聞録)

 旅行者に憧れの秘境チベット。南のヒマラヤ山脈、北の崑崙(こんろん)山脈、東の横断山脈に囲まれ、インド半島と中国大陸がぶつかって隆起した高原に位置する。
 2006年、中国青海省西寧からチベット自治区ラサまでの1956㌔を結ぶ青蔵鉄道(青海チベット鉄道)が全線開通した。山脈越えの標高は最高で5072㍍にも達し、北京からラサまで2日間かけての旅は、鉄道マニアの垂涎となっている。海外旅行客が大挙し、中国本土からも観光客が押し寄せている。
◇しかし、チベットの旅行は自由が制限されている。というのも、中国政府が入域や滞在を管理しているからだ。
 個人旅行は原則的に認めておらず、自由に旅行するには中国国内の旅行代理店に「団体旅行」名目で割高のツアーを申し込む必要がある。団体旅行者の一員として、チベット内に入るわけだ。
 さらに、中国本土への旅行は日本人ならビザ無しだが、チベットはビザが必要なうえ、それとは別に「入域許可証」が必要になる。
 外国人観光客の流入を一定規制することで、チベット問題の拡散を防ごうとする中国政府の都合なのだが、実際はわざわざ値段の高いツアーに参加しなくても、近くの都市から闇バスを利用でき、簡単にチベットに入れるし、いったんチベットに入れば入域許可証の有無をチェックされることはない。許可証の発行はその手数料をせしめるお役所の既得権益と化しているだけ、というのがチベット旅行者の話。
◇チベットは清の滅亡後、独立を果たしたが、1950年に中国人民解放軍による侵攻、制圧を受け、激しい破壊と殺戮にさらされた。
 1955年には中国の弾圧・支配に反発する「チベット動乱」が発生したが、逆に中国政府の弾圧で十数万人の難民を生んだ。
 今回のチベットでの抗議運動も、日ごろの圧制に耐えかねたチベット人の反発が暴徒化したものだ。
◇中国の圧政に苦しむのは何もチベットだけではない。「東トルキスタン」もそう。中国政府は「新疆(しんきょう)ウイグル自治区」の行政区を設けているが、この地は古くから「人種のるつぼ」と呼ばれる中央アジアの一員として多民族国家を形成してきた。しかし、現在は、漢民族の支配を受け、ウイグル、カザフ、キルギス人らテュルク系住民が望む独立の声は、徹底的に弾圧されてきた。
 旧ソ連の崩壊でウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、トゥルクメニスタン、タジキスタンといった中央アジアの国々が独立したのを横目に、中国政府の支配を受け続ける自治区の彼らは何を思うのか。
◇チベット、ウイグルだけではない。台湾だって中国の脅威にさらされている。ちょうど今、総統選挙が行われ、中国との結びつき強化による経済発展を呼びかける親中派と、一定の距離を置くべきとの慎重派の一騎打ちとなっている。
 今度のチベットの抗議運動が、台湾総統選にどういう影響を与え、親日の台湾政府がどう動くのか、注目したい。

2008年03月18日 13:52 |


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