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人権擁護法案に反対

 いま、中央、地方を問わず国民の注目を浴びているのが「人権擁護法案」。人権擁護に何人も異をはさむものはいない。
 しかし、人権擁護の名のもとに令状なしに出頭を命じたり、書類の押収や家宅捜索をされると、これは戦時中の治安維持法と同様に逆に国民の人権を踏みにじることになる。
◇そもそも人権とは何か。実に抽象的であいまいな言葉である。
 一般に納得させる定義は、人間が人間として当然に持っている権利、基本的人権ということが出来る。
 この基本的人権は憲法が保障しており、その侵害は個々のケースにより法律が対応し、罰則を設けている。憲法で人権擁護を規定しているのに、その上さらに「人権擁護法」を制定するのは屋上屋を重ねるものだが、そこには人権団体の思惑もあり、法務省の人権擁護局の権限強化など官僚の独善が底流している。
◇政府が平成14年にこの法案を国会へ提出したときは政界や言論、報道機関の激しい反対にあって、廃案となったいきさつがある。
 この法案の骨子は、法務省外局に「人権委員会」を設置する。
 この機関は高い独立性が保障され、あらゆる人権問題の情報を収拾し、あたかも警察官の捜査のような踏み込んだ権限が与えられ、人権委員の主観的判断で国民の自由な発言が圧迫されかねない危険を含む。
 例えば昨年、同対関連の団体役員による不祥事件が何回か報道されたが、この種の報道に対しても「人権擁護法」をかざして記者の出頭を促したり、家宅捜査をしかねない不安と危険をはらんでいる。
◇人権委員会は中央に本庁、地方にも支庁のような組織を持ち、その委員は戦時中の特高警察のような強大な権限を持つから、国民の民主主義、自由主義の脅威となる可能性さえある。
 いまどき、なぜ人権擁護法案がうごめき始めたのか。小泉、安倍政権下で日の目を見なかったものを、今、福田政権下で突破しようとするのは福田政権の反改革の路線かもしれないが、そういう政治情勢の背景には民主党の中にかなり強い推進派が存在するからである。
 したがって、国民は、自民、公明の与党ばかりでなく、野党の中にも民主党など人権擁護派議員の多いことを承知して、断固反対の意見や陳情を展開すべきである。
◇自民党内では無所属ながら平沼赳夫・元経産相を会長に、中川昭一元政調会長、島村宣伸元農水相、古屋圭司衆院議員、戸井田徹衆院議員のほか安倍晋三前首相、麻生太郎前幹事長ら多数が法案阻止に結集している。
 一方、推進派は「人権問題調査会」のもと、太田誠一会長(元総務庁長官)らがたびたび会議を開き今国会への提出を目指している。
 この両派の分裂的動向は他方の「ねじれ国会」を踏まえての政界再編成がらみの動きに響き合い、福田内閣の命運につながってゆく。
 このさい、国民として考えねばならぬのは、「人権」とか「差別」とかの言葉のもたらす一種の言論封じと、そうした雰囲気を私的欲望に利用して、病院における医師や看護師への暴言、救急車のタクシー代わり、生活保護の不正受給など不祥事の温床となる「見て見ぬふり」をただすと共に、あたらしくかざす「人権擁護」なる葵の御紋は断じて許してはならぬ。【押谷盛利】

2008年03月12日 13:58 |


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