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救急車はタクシー?(見聞録)

 「モンスター・ペイシェント」―。医療現場でモラルの欠けた行動をとる患者を、こう呼ぶ。病院に診療拒否権がないことを盾に、患者が社会的弱者の立場を悪用し、理不尽な要求を押し通す。例えば、待ち時間が長いことに医師や看護師をどなりつけたり、診察や治療にクレームを付けて支払いを拒否したり。
 利己優先の、公共精神の欠片もない連中だが、これは病院現場だけでなく、教育現場にも度々出現し、こちらは「モンスター・ペアレンツ」と呼ばれ、教職員を悩ませている。
◇現在開会中の長浜市3月議会の会派代表質問。竹内達夫議員は市立長浜病院への救急搬送が年々増加し、医師が対応に追われ大変だと改善策を求めた。
 同病院事務局は、救急車を要請すれば待ち時間なく優先的に診てもらえると、タクシー代わりに救急車を要請する患者がいると指摘し、何らかの対応が必要と答弁していた。
◇救急車をタクシー代わりに使う非常識な患者はいったいどれくらいいるのだろうか?
 湖北地域消防本部によると昨年の救急搬送は6772件。そのうち、6割が入院を必要としない軽症だという。「タクシー代わり」との項目で統計を取っていないが、「救急車で行けば優先的に診察してもらえる」「きょう、診療の予約が入ってる」「救急車は無料」などと、平然と救急車を呼び付けるケースも多いという。
 注意すれば「税金払っているやろ」と反発する始末。1日に3回も要請する常連もいるから、現場の苦労は絶えない。
 救急車はケガや急病などで「緊急」に病院へ運ばなくてはならない場合に利用するもの。タクシー代わりに使われている間に、本当に必要な患者への到着が遅れる可能性だってある。
 湖北地域消防本部では今月になってホームページ上で「定期的な通院にタクシー代わりに救急車を呼ぶことを止めて」と呼びかけているが、こんな当たり前の啓発をしなければならないほど、患者のモラルが崩壊しているということか。
◇また、福永利平議員は、市立長浜病院の駐車場が土曜、日曜でも半数以上埋まり、特に出入り口付近にはいつも同じ車が停まっていると指摘。病院に関係のない者が駐車場代わりに使っているのでは、と、駐車場の有料化を含めた管理のあり方を求めていた。
◇今、自治体病院は医師、看護師不足が深刻で、診療科の閉鎖などに追い込まれている。大学医局による医師の引き揚げで、残された医師はぎりぎりの人数で仕事をしている。市立長浜病院でも健全運営のためには中堅医師30人、看護師20人が不足している。
 こんな、ぎりぎりの状態で、ワガママな患者の無理難題を聞いている暇などないし、ましてタクシー代わりに救急車で来院する連中の相手など。
 こういう、自己の利益、権利ばかりを主張する患者が増えれば、病院からの医師離れがますます加速するのではないだろうか。

2008年03月11日 13:50 |


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