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ゆとりと公共精神(見聞録)

 インターネットの掲示板で何かの話題を論じている時、的外れのコメントや、無知な文章を書き込むと、すかさず「ゆとり」と突っ込まれる場合がある。
 「ゆとり教育」による学力低下から転じ、無知なネットユーザーを軽蔑する言葉、ネット上では浸透した隠語だ。
◇先週、文部科学省は、現行のゆとり教育を見直す小中校の学習指導要領の改訂案をまとめた。
 授業時間は小学校で約5%、中学校で約4%増える。特に算数・数学は約18%、理科は約22%増となり、近年言われる「理科離れ」の解消を目指す文科省の方針がうかがえる。
 授業時間が増えたのは実に40年ぶりというから、1960年代から授業内容は削られっぱなしだったようだ。
◇ゆとり教育が完全導入されたのは9年前。当時は、暗記作業による知識詰め込みのテスト勉強ばかりで、論理的思考が欠如し、テスト後に勉強内容を忘れるという実態が指摘され、日教組を中心に「詰め込み教育」と批判が起こっていた。
 多様な能力を伸ばすためには、ゆとりのあるカリキュラムが必要ということで授業時間が削られ、家族と過ごす時間の確保を名目に学校は週休2日制。「総合的な学習」の導入で教科にとらわれない幅広い学習の機会が増えた。
 しかし、小学校の算数で「台形の面積」、中学校の数学で「2次方程式の解の公式」、「円周率3・14の簡略化」など、「ゆとり前」の世代には信じられない「甘やかし」となっている。
◇子ども達の基礎学力の低下が鮮明化しはじめたことから、安倍晋三内閣による「教育再生」で、方針転換を図ることになったことは喜ばしい。
 改訂で、ゆとり教育の象徴として削減されていた「台形の面積」「2次方程式の解の公式」などが復活し、円周率を「3」に簡略化する規定は削除された。
 社会規範の低下が問題化するなか、道徳教育の教科化の可否が注目されたが、成績の段階評価などの価値判断が難しいとの理由で見送られた。それでも各校に「道徳推進教師」を置くことを盛り込んだのは、前進だろう。
 注目したいのは教育基本法改正を受けて「公共の精神」の醸成を盛り込んだこと。家庭教育もままならない昨今、せめて学校現場で少しでも公共の精神が身に付けばと期待する。

2008年02月22日 15:17 |


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