滋賀夕刊新聞社は滋賀県長浜を中心に政治、経済、文化の情報をお届けする新聞です。



いのちの食べかた(見聞録)

 中国産の毒ギョーザ問題は、冷凍食品をはじめ多くの食品を輸入に頼っている日本の食の課題を改めて浮き彫りにした。
 検出された薬物が、日本国内では流通していないことから、中国国内で混入されたとみるのが妥当だが、多くの工場を抱える中国政府にとって、国内での毒物混入を断定することは、この国の食品輸出産業に大きな打撃となり、さらに、夏の北京オリンピックを控えているだけに、このまま、原因を特定せず、うやむやにする可能性もある。
 毒ギョーザに続いて18日には、中国製しめ鯖から、殺虫剤が検出されたが、いったい中国の食品生産現場で何が起こっているのだろうか?
◇食品の生産現場を淡々と映像で伝えるドキュメンタリー映画「いのちの食べかた」が全国のミニシアター系映画館でロングヒットとなっている。上映の長い映画館では4カ月目に突入し、小欄も先々週、大阪市内の「第七藝術劇場」で鑑賞したが、この手の映画館にしては多くの客で溢れていた。
 この映画は、オーストリアのニコラス・ゲイハルター監督が、ヨーロッパ内の養鶏場、農園、水産加工場など食品の現場を2年かけて撮影し、編集した。
 作品はナレーションやインタビュー、BGMもないまま、食材がどう生産され、どう加工されているのかを、ただ映像で紹介するのみ。
 ベルトコンベアで運ばれるヒヨコ、狭い小屋に押し込められた豚、全自動の機械でさばかれる魚、品種改良の積み重ねなのか実が綺麗に整った野菜がスクリーンに映しだされる。
 動物も野菜も、人間に食べられるために生まれ、ただ生かされ、殺される存在で、動物や植物が命ある「生き物」として扱われず、何の感謝の心もなく、機械化された工場内でひたすら商品化されていた。
 世界中の胃袋を満たすために、いかに多くの「いのち」を殺め、その尊厳を無視して、機械管理しなければならないのか。
◇今の日本は洋食化が進み、食材の6割を輸入に頼っているが、生産現場がどこか遠い国にあるという現実が、食に対する感謝の気持ちを希薄にし、簡単に残飯を捨てる人を生み出している気がしてならない。
 日本人の食品は日本国内で生産し、伝統料理を重んじることで、大切な「いのち」を頂いているということを見直せるのでないだろうか。
 今回の毒ギョーザ事件は輸入に頼る今の日本に対する警鐘と受け止めるべきであろうし、この事件をきっかけに、国産ニラを使った手作り餃子など、身近な食材を使った家庭料理がにわかに人気を呼んでいるのは、嬉しいニュースでもある。
◇なお、異例のロングヒットを続ける「いのちの食べかた」だが、いよいよ来週の26日から滋賀県内で上映がはじまる。会場は大津市の滋賀会館シネマホール(077・522・6232)。興味のある方はどうぞ。

2008年02月19日 17:00 |


このエントリーのトラックバックURL:
http://www.shigayukan.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/1576

過去の時評


長浜市
長浜市議会
長浜観光協会