59兆円の算出根拠は?(見聞録)
ガソリン税の暫定税率を巡る国会論戦を注目している。
3月末の租税特措法の期限切れで暫定税率が廃止されれば、ガソリンの値段が約25円安くなることから、消費者は大歓迎なのだが、与党議員や地方自治体の首長らは「道路が造れなくなる」と、暫定税率の維持を訴えている。
◇野党は暫定税率の廃止にとどまらず、道路だけに特化している現在の道路特定財源の一般財源化を訴えている。福祉や教育予算が不足しても道路予算だけは温存されている現在の制度を変えようとの提案。
暫定税率の廃止でトラックなどの運送コストが値下がりし、食品などの生活必需品にも値下げ効果が生まれるとも主張している。
一方、与党は暫定税率を廃止すれば、国民生活に不可欠な道路を整備できなくなり、地方自治体も財源不足で混乱が生じると主張している。また、地方は公共工事で地元景気が左右されることもあり、特に工事の恩恵に浴してきた地方の建設業界にとっては、死活問題だ。
◇暫定税率の行方はガソリン代に直結するだけに国民の関心は高いが、今国会の焦点は、日本の道路計画だろう。
政府は、昨年、今後10年間で59兆円の税金を道路だけに使う「道路整備の中期計画」を立てたが、そもそも59兆円という巨額の算出根拠や中身が示されていない。5日からの国会論戦の報道を見ても、与党から具体的な算出根拠は示されず、「どんぶり勘定」で設定していることがうかがえる。
◇野党の訴える道路特定財源の一般財源化は、過去に小泉政権が目標に掲げていた。予算不足の中、道路財源だけ温存するのは国民の理解が得られないとして、当時の小泉首相は自民党の道路族を「抵抗勢力」と位置づけ、道路特定財源の一般財源化を掲げた。しかし、安倍政権で「必要な道路は造る」と後退し、今の福田政権下で59兆円の計画が策定された。
小泉内閣で存在感を失いかけた道路族が完全に息を吹き返した感を受けるのは、小欄だけではあるまい。民主党の岡田克也元代表も7日の衆院予算委で「道路の帝国主義だ」と批判していた。
◇8日付け朝刊の折込み広告に、暫定税率の廃止に反対するチラシが入っていた。自民党と滋賀県議会の自民系会派が配布したもので、渋滞や危険な通学路の解消、老朽化する橋の改修など「真に必要な道路の整備」を訴え、「十分ですか?滋賀の道路」と問いかけている。
年金、教育、福祉など市民生活に直結した課題は山ほどあるのに、なぜ、チラシを配布するほど道路整備にこだわるのだろうか。
市民から福祉や教育、子育て政策の充実を求める声が聞こえても、道路整備を求める声は聞こえないのに。ひょっとして道路じゃなくて工事が欲しいのか、とも勘ぐりたくなる。そういえば、過去にも、びわこ空港や新幹線栗東新駅が必要だと訴えていた。
◇59兆円の算出根拠は何なのか。野党が今国会で徹底的に道路計画を検証することに期待したい。
2008年02月08日 17:15 | パーマリンク
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