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小泉さんと橋下氏と

 30日の時評に「橋下知事と政界再編」という興味あるテーマを取り上げた。
 何か仕掛けでもあるのかと勘ぐる向きがあるかもしれないが、あくまでもぼくの勝手な独断的推測である。しかし、その独断の背景は日本の政治不信と現政局への不満がぼくの心にわだかまっているからである。
 もっと、はっきり言えば、小泉さんの退場で拍子抜けした国民の立場に立って、「新しいリーダー出よ」「真の改革に政治の舵を切りかえよ」と、ぼくが心から望んでいるからである。
◇これまでにも「安心」「安全」「日本の独立と尊厳」を指向して、しばしば政界の再編や強いリーダーの出現が期待されてきた。
 その一人が石原慎太郎東京都知事であるが、残念乍ら彼は年をとりすぎた。気分は高揚していても体力と行動力の上で、明日の日本を背負わせるには酷である。
◇今度当選した橋下徹知事は30代後半の若さであるから、みずみずしい新鮮さがある。25才で弁護士になっているから頭もよく弁舌も達者であり、これまでの実務を通じて社会の裏面にも精通しているはずである。
 若さゆえに、汚れていず理想を追う情熱と行動力は明治維新の吉田松陰や高杉晋作を思わせる。
 彼が大阪府政の抱える長年の赤字体質にどう立ち向かうか。もし彼の言動が選挙当時と選挙後の記者会見で明らかとなったように不退転の根性で岩をも通す馬力だったとしたら、その波乱も大きいが、その影響は想像を越える。
 おそらく立ち往生を強いられる困難が横たわるであろう。その困難を乗り切るには一にも二にも府民の信頼と支持が条件である。いまのところ、府民ばかりでなく、全国から激励と拍手の声援がどよめいている。
 ぼくもまた彼の初心を高く評価し、ゆれることなく、ぶれることなく、晋作、松陰のまこと一筋の実力の知事であってほしいと願っている。
◇彼の当選と府民の声を大切にする態度を考えるとき、ぼくの頭によみがえったのは小泉純一郎さんが初めて自民党総裁に当選し、首相になったときとその後の激しい改革路線の歩みであった。
 小泉さんは「自民党の解党的改革」を振りあげた。解党は潰党、壊党を意味し、自民党にとってはまがまがしい言葉であり、おぞましい発言といえよう。しかし、言わずにおられぬ小泉さんの改革の熱とファイトがあえてそれを言わしめた。全国の党員がそれに共鳴して一つのうねりの如く世論を形成し、結果において、本命の橋龍を粉砕した。
 小泉さんは、その後の政策の基本を派バツの解消と行財政の改革にしぼった。民でやれるものは民でやれ、の大号令のもと党内から上がる猛烈たる反対を押し切って遂に郵政民営化を実現した。さらには道路公団の改革にも手を染めた。
 その間、立ちはだかる党内の反対派に対しては、選挙時の約束に関する国民の支持を背景に「抵抗勢力」と喝破し、あえて耳をかさなかった。
◇その決意と勇気ある実践力は比類なく頼もしかった。彼の如き根性と信念の政治家は、かつては中曽根康弘氏、今は石原東京都知事に見ることが出来るが、小泉さんは志半ばにして党の規約通りに任期を全うして退任した。その引きぎわまでがいさぎよく、さわやかであったが、その結果、日本の政治の不幸が訪れた。
 小泉後継の安倍さんが小泉憎しの派バツがらみの総攻撃を受けて任期途中で退場を迫られた。その退場の舞台裏は滋賀夕刊の28日付記事に出ていたが、要するに派バツの復権だった。このことは改革のゆり戻しを意味するし、インフレ経済への道標でもある。
◇ぼくは、小泉さんの改革へのすさまじい情熱と鉄のような力を、今度の橋下府知事に重ねた。橋下氏がその熱血ぶりをシャープに切れ味鋭く府政に立ち向かえば、当然ながら大きな期待が国民的規模で燃えるにちがいない。
 そのときこそ、北川前三重県知事、東国原宮崎県知事、日本の政治刷新の良識派が政界再編成の軸になるだろう。ならねばならない。【押谷盛利】

2008年01月31日 13:33 |


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