橋下知事と政界再編
暗いニュースが続くなかで、新年一番の明るい話題は大阪府の新しい知事・橋下徹氏(38)の登場である。
出る、出ないで、ひとときマスコミから叩かれもしたが、候補者難のチャンスを生かしたのか、それとも大阪挽回の起死回生の旗手として神の指名が下されたのか、いずれにしても颯爽と出て、颯爽と当選した。
◇橋下氏は型破りの弁護士としてタレント性を発揮してきたから知名度は抜群であった。
若さといい、表情といい、行動力といい、そしてラグビーで鍛えた爆発的情熱と鋭い勘で人をひきつける魅力があった。
自民、公明の両党はいい候補を発掘したものだが、選挙告示の瞬間に勝負ありの感があった。
民主党は市長選の余勢をかって、次に展開する衆議院選の勝利を目指して独自候補を擁立したが、残念乍ら、両党候補の落差が目立ちすぎた。
民主党候補の熊谷氏は大学教授で、政策に明るく温厚な人柄で、普通の選挙なら見劣りしない立派な人物であるが、橋下氏と比較すれば余りにも明暗がきわ立った。
明日の大阪をだれに託すか、困難な府財政をどう建て直すか。それを考えた府民が若さと行動力に掛けたのは至極当然であり、橋下氏の当選は今後の全国の首長選の大きな手がかりになるのではないか。
◇初当選した橋下氏のテレビや新聞における抱負を聞いたが、力強さと頼もしさを感じた。例えば、赤字財政の建て直しはこれまでは府債の発行が常識化されていたが、彼は明確に「ノー」とこれを退け、道はハードだが、やり抜く、やり抜かねばならぬ、と強調した。このためには予算の見直しと大ナタが予想され、彼は人件費カットという聖域にまで臆することなく大胆に切り込んだ。
しかも、その決意の前提に「これは府民への約束であり、府民が賛成してくれたことである」と府民の声の代弁者であることを自信と誇りをもって高言した。
◇税収や交付金に限界があり、住民の需要に応えて事業を起こすには府県債(借金)やむなしとするのが、地方都市の一般の苦悩であるが、彼の予算方針は極めて単純明快である。
収入に見合う範囲で支出の予算を計上する、というのがこれである。
これは当たり前のことであるが、今の世では極めて新鮮に反映するし、この当たり前が現実の府政でどう生かされるか、これは実に大きなかけである。
おそらく大阪府政は戦後最大の緊張と大激論を重ねるにちがいない。
それは府民の要望のまとめ役である議会と府政の事務を執行する職員を巻き込んだ史上初の地方自治体の「のるか、そるか」の断崖絶壁の大論戦となるだろう。橋下氏はそれを予期してきっぱり言う。「私は議会となれあいはしない」、「あくまで府民に約束し、府民の支持を得た政策を実行する」。
「府の職員も破産状況の会社の社員であるとの自覚に立って府政再建に協力してもらわねば」。
◇橋下府政には議会の圧力が予想され、彼の信念と勇気と行動力はそれを吹き飛ばすかもしれないが、一波乱も二波乱も予想される。彼は賢明にもその安全弁対策として、出馬前に自、公両党を根回ししている。福田首相も全面協力を約している。
橋下氏は大阪府政を突破口に日本の財政の健全化に火をつけるかもしれない。そのとき、政界再編成ののろしが上がるだろう。【押谷盛利】
2008年01月30日 14:15 | パーマリンク
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