霊視と視聴者の倫理観(見聞録)
江原啓之氏なる「スピリチュアル・カウンセラー」が、霊視能力を活用し、テレビ番組で人気を集めている。ところが、先週発行の週刊文春が霊視の矛盾点を指摘し、ちょっとした話題になっている。
スピリチュアルとは「霊的な」「精神的な」という意味合いで、番組では霊を呼び出したり、守護霊と話し、ゲストに人生相談や自己啓発のためのアドバイスをしている。
文春が矛盾点を指摘しているのは、昨年12月に放送された番組でのやりとり。ゲストに招いた宝塚出身の女優に、江原氏が亡くなった女優の父親を霊視して、「お父さんは宝塚音楽学校の受験を理解し、見守っていた」などと語った。
ところが、その後の文春の取材で、亡くなった父親というのは母親の再婚相手で、女優の学生時代に共に暮らしていた実父は現在も生きており、町役場で課長を務めているとのこと。文春は「いつまでこんなインチキを続けるのか」と指摘している。
◇テレビのバラエティ番組は、視聴率を上げるために様々な「工夫」を加える。過去には「前人未踏」「難攻不落の洞窟」「幻の部族に接触」など刺激的な見出しが躍った探検番組が放送されたり、不良がプロボクサーを目指す番組でも登場人物の不良達に台本が渡されていた。
◇どの程度まで「やらせ」や「うそ」が許されるのだろうか。それは視聴者の倫理観次第だそうだ。
先日、読売テレビキャスター辛坊治郎氏が虎姫で講演した際、「放送法は40年以上変わっていないのに、テレビ番組の放送基準は変わっている。視聴者の倫理観が変化しているからだ」と指摘した。
昨年、健康番組「発掘あるある大事典」が実験データを捏造して納豆にダイエット効果があると放送したことが問題となったが、辛坊氏は「納豆でダイエットなんて、騙される人が悪い。40年前だったらOKだった」と振り返った。
加えて辛坊氏は「今、企業のコンプライアンスが言われているが、コンプライアンスとは法令順守の意味ではない」と忠告し、「目の前の客の倫理観、ニーズに従うこと」と話した。
◇テレビ業界は放送法が変わらない中で、視聴者の倫理観を推し量りながら、番組作りの基準を変えてきた。
なら、視聴者は、バラエティ番組で放送される内容の真贋をどこまで見極めているのだろうか。
◇問題の霊視番組について、テレビ局は「前世や守護霊は現在の科学で証明されたものではない」とテロップを流しているが、この手の番組は、霊界や死後の世界を安易に信じ込ませる効果があるとも指摘されており、霊感商法などの犯罪を誘発させかねない。「ただの娯楽」「ネタでしょ」と楽しんでいる分には問題ないのだろうが…。
2008年01月25日 13:16 | パーマリンク
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