滋賀夕刊新聞社は滋賀県長浜を中心に政治、経済、文化の情報をお届けする新聞です。



2007年09月29日

暴行致死ではないか

 このごろ、不愉快なニュースの一つに大相撲界の不祥事があげられよう。
 横綱・朝青龍については、傲慢無礼、言葉もないが、本心から後悔して、国民に詫び、心を入れ換えて相撲道に徹すれば再生も不可能ではない。しかしその横着さを眺めていれば、早晩、追われて角界から消えてゆく運命をたどるのではないか。
◇今一つの大問題は、時津風部屋の序ノ口力士・時太山(17歳、本名・斉藤俊)の稽古後の急死事件である。相撲界の荒稽古はかねてからの常識であるが、今回の斉藤さんの死は、これまでの報道や時津風親方自身の告白によれば、これは稽古ではなく、いじめの極限の暴行致死である。
 監督の立場にある文部科学省は事情聴取を行い、相撲協会に調査と今後の対策を促したが、今回の不祥事の根は深い。何より腹の立つのは、このような前代未聞の不祥事にも拘わらず、相撲協会の動きが極めて怠慢であることと、明らかな暴行死にも拘わらず、警察の捜査が遅れていることである。
◇これまでに伝えられている情報によれば、部屋の余りの厳しさのために、斉藤さんは、その苦しさを親に告げ、「やめたい」ともらしていた。耐えに耐えて我慢しきれずに家へ帰ったこともある。その都度、父親は、辛抱して、強くなって、花を咲かすのだ、と説得して部屋へ帰した。稽古の名によるいじめが度を過ぎて少年は部屋を逃げた。そして、連れ戻された挙げ句、死に至る暴行を受けた。
 親方はビール瓶で頭を殴ったといい、兄弟子たちは金属バットで殴った。
◇少年が死亡した後、親方は、死因を追及できぬよう、遺族に死体を送らず、火葬にすべく父親に連絡した。
 父親は、死体を見るまでは、と、この申し入れを拒否した。
 さて、変わり果てたわが子を見た父親や家族は、息子の体のあちこちに稽古の傷とは思えぬ不審なあざや、煙草の火によるらしいヤケドの跡や、土俵上のケガとは信じられぬ部位のケガなどを見て、医師の解剖と死因糾明を求めた。
 これは明らかに不審事である。警察が立件捜査に入るべき疑いが濃い。
 しかも、親方自らが、ビール瓶で頭を殴ったことや、弟子が金属バットで殴ったことを認めているではないか。
◇相撲協会は公益法人であり、それゆえに文科省が相撲協会の北の湖理事長を呼び出して事情聴取したが、協会は、それまでに何一つ、積極的な対応をしていなかった。
 ことは時津風部屋の問題だけでない。角界全体に通じる稽古のあり方にも関係するし、何よりもいじめの極限の暴力によって弟子が尊い人命を失ったのである。
 いち早く、協会自身が事件の解明に乗り出し、その不祥事の実態を国民に明らかにすべきであり、たとえ内部に衝撃が走ろうとも警察に不審死を報告すべきである。
◇荒稽古でいえば、今年に入ってからも朝青龍が他の部屋の出稽古で、幕内力士を強引な技で投げつけ、骨折入院させたいわくがある。他にも現役力士(15)が心臓病で死亡した事実もあり、こんな暗いニュースが隠されていれば、それでなくても下り坂の相撲人気がますます下落するのではないか。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2007年09月28日

国家を動かす(見聞録)

 「一枚の写真が国家を動かすこともある」―。月刊報道写真誌「DAYS JAPAN」の表紙に記されている言葉だ。
 戦場で逃げ惑う親子、炎に包まれる村からやけどを負って逃げ出す子ども達―など、戦争被害を捉えた写真が反戦世論を沸きあがらせ、ベトナムからの米軍撤退に繋がったように、報道カメラマンの影響力は小さくない。
 世界各地の紛争地で起こる惨劇を、遠く離れた読者や視聴者に伝えるため、戦場ジャーナリストは死と隣り合わせの危険に耐える。
 インターネットで世界中の情報が得られる今日でも、誰かが戦地に赴き事実を画像として持ち帰る必要がある。そして、彼らの写した一枚が世界を変えることになる。
◇軍事政権が支配するミャンマー(ビルマ)で、市民デモと軍隊の衝突を取材していた映像ジャーナリストの長井健司さん(50)が、軍に撃たれ、亡くなった。
 イラクやパレスチナなど危険な紛争地での取材経験が豊富で、民主化デモが拡大しているミャンマーへも「誰かが日本人に情報を伝えないといけない」と単身乗り込んでいた。
 長井さんが銃弾に倒れる様子がテレビやインターネットで放送、配信されているが、映像を見る限り、流れ弾ではなく、銃口を長井さんに向けて至近距離から撃ったものと分かる。銃弾は心臓を貫通していたという。
◇ミャンマーの軍事政権は1990年の国政選挙の結果を無視し、独裁を続けている。民主化運動の指導者アウン・サン・スー・チーさんを十数年も軟禁し、人々の自由を奪ってきた。
 欧米各国が経済制裁を行っているが、中国政府は軍政に武器輸出や経済援助を行い、その見返りにミャンマー国内のガスや石油といった天然資源の採掘権を獲得。「共存共栄」で民主化の流れにくさびを打っている。いったい、いつまで独裁が続くのか。
 長井さんは銃弾に倒れてもなお、カメラを離さなかった。この映像は今、世界中に配信され、軍事独裁政権の無法ぶりを改めて知らしめていることだろう。

| | トラックバック ( 0 )

2007年09月27日

昔の自民党に帰るのか

 今度の福田内閣の誕生劇は国民を愚弄するものだったが、面(つら)の皮の厚い古い自民党指導者は、人の噂も七十五日とばかり、見え見えの派閥丸出しの談合政治を演出した。
 古い体質の自民党指導者は、世の中がどんなふうに動いているか、国民の政治に対する眼がどう変わっているのか、まるで眼中にないようだが、これでは墓穴を掘るばかりである。
 小泉改革以前の古い日本の政治は、たとえ政権が立ち往生、途中でパンク、難破しても、政権交代は常にコップの中の争いで、派閥間の取引や、目先を変える党内のテクニックを通じ、基本的には自民党政権は続行した。
 そういう政治環境が長く続いたから、国民はそれに馴らされ、変な、理不尽な政権交代にも不審感を持たず、自民党指導者はそれをいいことに政権のたらい回しを続けてきた。
◇これはおかしい、と問題提起したのが小泉さんだった。小泉さんの頭の中には、おかしいと直感したもろもろの因子はすべて国益に反し、国民の心に背くものであることが鮮明に映っていたに違いない。
 マスコミや世間は小泉さんの改革を構造改革と呼んでいるが、これは非常に抽象化された言葉で、ひらたくいえば、これまでの自民党流政治のご破算と考えれば分かりやすい。具体的にはどういうことか。
 先ず第一は派閥の解消と派閥政治の刷新である。
 このことは政治の対局にある行政の改革と相関関係にある。これが第二のポイントである。
◇この二つの改革を押し進めれば政府の予算案は減額されるし、国と地方に及ぶ無駄な国費の乱用は避けられるし、何よりも政治と行政に倫理の筋が一本通る。
 極端にいうと、これまでの政治は政治家と官僚とこれに結びつく業界の「わっしょ、わっしょ」の神輿(みこし)かきみたいなもので、不正が起きても膿(うみ)が出ても「そんなことぁ、どうでもよいじゃないか」の歌声で時の経過を迎える。
 そういう意味では、役所の不祥事件はトカゲの尻尾きりで決着した。常に選手交代で、国民の眼をごまかし、雨降りも天気のうちだとばかり、問題の本質を追及することなく嵐の去るのを待ってゆく。
◇今の古い体質の政治家は、昔のデタラメな政治に郷愁を覚えるため、口を開けば、小泉改革の悪口をいう。そして、いかにももっともらしく、格差社会は小泉改革による、と非難するのである。この巧妙な小泉批判には、国民は乗ってはいけない。
 反改革派の政治家はずるいから、表向きは小泉改革を誹謗しない。それは、小泉さんが今なお国民に人気があり、小泉改革のねらうところを国民が理解していることを、承知しているからである。
 したがって、表向き堂々と小泉改革を叩くのではなく、「ひずみ」とか、「格差」とかの主観的、抽象的言葉を使って、暗に小泉流政治の転換を画してきた。
 その第一の戦略が安倍政権からの小泉色脱皮であった。
 続く第二弾が安倍後の本格的派閥政治の復活であり、福田総理はその最大公約数の中で旧体制派のシンボルにかつがれた。
◇国民は愚かでないから派閥政治の復活と改革つぶしの福田路線を警戒してゆくであろう。
 それや、これやを考えれば考えるほど、今度の自民党の総裁及び執行部の古色蒼然たる姿が先祖返りといわれるように、昔の自民党に帰ってゆく危惧をいだかずにはおられない。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2007年09月26日

福田政権のねじれ現象

 福田内閣が発足したが、国民の眼は冷めているのか、さしたる反響が伝わってこない。
 政党内閣である以上、多数党の与党の総裁が総理になるのが原則であるから、さきの自民党総裁選で勝利した福田康夫元官房長官が総理になるのは全くの筋書き通りである。
 ただし、今回の総理選出は、衆議院が福田、参議院が民主党の小沢一郎代表を指名したことで特異な現象となった。この結果、憲法の規定による衆議院優先によって福田総理の誕生となった。
◇総理大臣は、国民代表である国会議員により選出することが憲法で決められているが、これは間接的な国民投票といえる。
 もし、本当の意味での間接的国民投票ということを問題にすれば、国民の政治選択意志は現在に最も近い時期における国政選挙の結果を尊重すべきことになる。
 現在に最も近い国政選挙は去る7月に行われた参議院選であり、これは明確に自民党政治を否定し、野党第一党の民主党政治への期待がこめられていた。
 したがって今回、参議院が総理に小沢民主党代表を指名したことはまさしく、国民の心を反映したもので、憲法の規定する間接的国民投票の結果といえる。
 ところが、自民党と公明党の与党が多数を占める衆議院は、小沢氏を退け福田自民党総裁が指名された。
 ということは、衆議院の自民党第一党は、現在に最も近い国政選挙における国民の意志とは相反していることになる。
 この現象は「ねじれ現象」であり、ねじれは正さねばならぬが、今度の福田政権は、ねじれを認めつつ、いかに自民党政権を長く保持するか、が宿命づけられている。
◇なぜ、福田政権を長く保持させてねじれ現象を直そうとしないのか。
 それは、いま、衆議院を解散して、国民の声を聞けば、まごうことなく、民主党が勝利するからで、そうなれば、衆、参こぞっての国民の意志が政権交代を明確にする。
 自民党の泣きどころがそこにあり、それゆえに、自民の今回の総裁選及び組閣は、挙党一致、仲よし内閣を命題とした。
 福田総理が反安倍体制を指向しながらも、安倍内閣の大臣をほとんど継承し、なおかつ、麻生派の選挙参謀だった鳩山邦夫、甘利明両氏をそのまま法務、経産の大臣に据え置いた。
 そして、総裁の椅子を争った麻生氏にすら最重要ポスト吟みで大臣起用を策した。すべては、解散を避け、任期いっぱい(2年後の9月)政権に固執したいからである。
◇この自民党の政治戦略は、彼らの政治生命保持には有益に働くが、国民本位の民主的政治には有害以外の何ものでもない。
 それは今後に展開される重要政策の取捨推進によって明るみになるが、はっきり言えることは、構造改革の否定であり、官僚独善政治と派バツ政治、族議員政治の復活につながってゆく。
 対外的には中国、北朝鮮寄り、内政的には増税コースといえよう。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2007年09月25日

杉原記念館を訪ねて(見聞録)

 伊吹山文化資料館で目下、第2次世界大戦中に「命のビザ」を発給して約6000人のユダヤ難民を救った外交官・杉原千畝(ちうね)の写真展が開かれている。滋賀のアマチュア写真家が、杉原と彼に救われたユダヤ人の足跡を辿って撮影した写真の数々を展示している。
 杉原の出身地、岐阜県八百津町に彼の偉業を讃える記念館があるというので、先週末訪れた。美濃加茂市を東に、木曽川のほとりにある山地の田舎町。そこの「人道の丘」に記念館がたたずんでいる。杉原の足跡をパネルや写真で紹介し、ビザ発給を決めた執務室「決断の部屋」を再現。こじんまりとした建物ながら、県外からも見学者が訪れ、孫に当時の戦争の悲惨さを伝えるお年寄りの姿も見られた。
◇杉原はごく一般的な家庭に生まれた。早稲田大に入学したが、生活苦から公費で勉強できる外交官留学生に応募し、中国ハルビンへ。その後、国際センスが評価され、1939年にリトアニアの在カウナス日本領事館領事代理に就任し、ここで大きな決断を迫られることになった。
 当時、ヨーロッパではナチスによりユダヤ人の迫害が広がり、ナチス占領下のポーランドから隣国リトアニアに多くのユダヤ難民が逃亡し、日本領事館にビザを求めに来たのだった。
 この頃、リトアニアはソ連に併合されており、ユダヤ難民は日本のビザを得られれば、ソ連国内を日本まで移動して、第3国に逃げ延びることができた。
 日本外務省はドイツとの同盟関係を配慮して発給を許可しなかったが、杉原は外務省の指示に背いて、発給を決断。ソ連政府や本国から再三の退去命令を受けながらも、退去制限ぎりぎりまでビザを書き続けた。
 1カ月余りの間、ユダヤ難民を中心に2139枚のビザを発行した。当時は、1家族に1枚のビザで十分だったので、家族を含めると少なくとも6000人もの難民の国外脱出を助けた。
◇ユダヤ難民たちは、シベリア鉄道からウラジオストク経由で敦賀港へ上陸。湖北地域を通って、ユダヤ系ロシア人が多く住んでいた神戸に辿り着き、その後、アメリカやパレスチナ、上海に向かった。
 一方、リトアニアはドイツの攻撃を受け、ソ連軍が撤退。ナチスの支配下で20万人近くのユダヤ人が犠牲になったという。
 杉原は大戦後、ブカレストで家族と共にソ連に身柄を拘束され、1年間の収容所生活を送った後、47年に帰国したが、外務省にリストラを理由に解雇された。
 後に自身の立場を顧みず、人道的見地で多くのユダヤ人を救ったとしてイスラエル政府から「諸国民の中の正義の人」賞を受賞した。ナチス党員でありながらも1100人以上のユダヤ人を救ったオスカー・シンドラーになぞらえ「日本のシンドラー」とも呼ばれている。
 ちなみに、敦賀港にはユダヤ人をはじめ多くの難民が到着し、市民や日赤が温かく迎え入れた歴史があり、今、「人道の港」として再評価する気運が高まっている。
◇「私のしたことは外交官としては間違っていたかもしれないが、人間としては当然のこと。私には彼らを見殺しにすることはできなかった」―。杉原はこう言葉を残している。
 なお、当時の外務省がビザ発給を許可しなかったのには▽当時のドイツとの関係を考慮すると止むを得ない▽拒否したのは建て前(杉原ビザのユダヤ難民の入国を許可したことから)―などと諸説ある。ただ、02年、中国・瀋陽の日本領事館に駆け込んだ脱北者家族を、保護することなく、中国当局に引き渡した前科しかり、今の外務省は難民受け入れには非常に消極的である。

| | トラックバック ( 0 )

2007年09月23日

おぼっちゃまと自転車ドロ(よもやま)

 全国を震撼させた長浜の園児刺殺事件は18日の論告求刑公判で検察側は死刑を求刑した。一方、弁護側は無罪を主張した。公判では被告の責任能力が問われたが、大津地裁は来月16日判決を言い渡す。
 検察側は被害者家族の気持ちを代弁し「何の罪もない未来ある幼児2人を無慈悲にも殺害した鬼畜の所業。反省の情もない。責任能力も認められる」と主張。これに対し弁護側は「統合失調症による心神耗弱状態で責任能力はない」と無罪か、軽い刑を主張した。被害者家族は精神鑑定に対して「病気だから罪が軽くなるのは納得できない。大切な命を奪われ、病気だから仕方ないと思う人はいない」と憤りを露わにしている。
 最近、子どもが犠牲になる事件が多発しているが、公判で加害者から耳を疑うような言葉を聞く。今回の公判では「砂人形を刺した」「耳栓が無罪と言っている」など。このほか、広島県光市の母子殺害事件でも本村夕夏ちゃん(当時11カ月)の遺体を押し入れの天袋に入れた元少年は「押し入れに入れれば、ドラえもんが何とかしてくれると思った」などと供述している。
 テレビでコメンテーターの橋下徹弁護士がこの公判で、いわゆる「人権派弁護団」に対し、視聴者に解任請求を呼びかけたのも同感できる。「砂人形」「ドラえもん」誰の入れ知恵か知らないが、吉本新喜劇でもあるまいし、血の通った人間ならもっとましなことが言えるだろう。被害者家族の心中を察すると怒りがこみ上げる。
◇内閣発足352日目。「美しい国」を旗印にした安倍総理の幕引きは、あまりに美しくはなく、無責任だった。若い安倍さんでつまづいたため、再び若手や女性議員でイメージ刷新という手は使えないので、キャリアのあるベテラン世代をかつぎ上げた。
 安倍さんはカメラ目線が不評だった。目が泳いでいるし、どこかよそよそしい態度や話し方、丁寧すぎるほどの敬語は国民との距離を遠ざけた。
 安倍さんは祖父、父とも政治家という一族に育ったおぼっちゃま。バスの乗り方も知らないだろうし、新聞1カ月の講読費がいくらかもわからないだろう。庶民との生活感がかけ離れた人が「改革、改革」と叫んでも、どこかよそよそしい。
◇さきごろ木之本署で、盗んだ自転車で京都に向かおうとした男が逮捕された。名古屋から米原まで来たものの、方向音痴で道を間違え北上。いつまで経っても目的地にたどりつかないため、木之本署で道を尋ねたまでは良かったが、乗ってきた自転車の鍵が壊れていたため、警官に「これ盗難車やろ」と見つかり、逮捕された。
 警察に聞くと最近、自転車ドロボウが多発している。今年1月から8月まで長浜署管内の犯罪は738件、うち自転車の盗難は167件で全体の22・6%を占めている。
 少年たちが駅や買い物に行くため、「ほんの足代わり」に盗むほか、ホームレスや無職の者が、職探しのため自転車を盗むケースが多いという。数百㌔も離れた場所に自転車で向かっていると、行く先々で職務質問を受けるため、予め中古自転車を買った際の領収証を用意し、停止させられると署員に提示する「ちゃっかり者」までいるらしい。
 中古自転車はせいぜい2、3000円。しかし、男たちの所持金はわずか数百円。男たちは働いているが、なぜ、金が残らないのだろうか。
 先日、湖北町のグループホームに住む青年が約2カ月間の行方不明の末、無事、保護された。青年は名古屋で日雇い労働者の手配師にスカウトされ、工事現場で働いていた。日給8000円と言われ、働き続けたが、食費、宿泊費などの名目で給料を差し引かれ、1カ月の手取りはわずか1万円。駅前で待ち構えるポン引きは安い労働力で金を稼ごうと、地方出身の出稼ぎ労働者を餌食にしている。
 この青年は軽度の知的障害者で、過去、数回、悪徳商法に騙され、百万円余りのネックレスをローンで買わされている。
 弱者である子どもや老人、障害者などを犠牲にする事件が後を絶たない。きょう、日本の主(あるじ)を決める総裁選の結果が出るが、先生方はこのような実情を知っているのだろうか?真面目に働いている人々が損をする時代。世の中が狂っている。

| | トラックバック ( 0 )

2007年09月21日

人は独りでは生きていけない?(見聞録)

 ロックミュージシャン、ジョン・ボン・ジョヴィは、彼の歌の中で「no men is an island(人は誰もが孤島ではない=人は独りでは生きていけない、という意味)」とのメッセージを込めたが、今の日本は未婚率の上昇に歯止めがかからない。05年の国勢調査による未婚率は男性が30代前半で約5割、後半で3割、女性は30代前半で3割強、後半で2割弱。
 生涯未婚率(50歳時の未婚率)は、男性で15%、女性で6・8%に達している。
 若者に結婚意欲がない訳ではなく、国の調査によると9割が結婚を希望しているが「出会いがない」「理想の人にめぐり会えない」などを理由に、機会を逃している。
◇全国で未婚率が最も低い都道府県は隣の福井県ということをご存知だろうか。例えば、未婚女性の割合は30歳代前半で24%、後半で12%で、全国平均を大きく下回っている。
 これは県が「縁結び」に積極的に取り組んでいるからで同県では委託を受けた婦人福祉協議会の相談員約200人が県内30カ所以上で結婚相談にのっている。人間関係の希薄化により都市部で減少している、いわゆる「世話焼きおばさん」をネットワーク化し、その人脈と「おせっかいさ」で出会いを導いている訳だ。
 富山県も、今年から出会いを後押しするため、「とやまで愛(出会い)サポート」と銘打った新規事業を始めた。きょう21日までボランティアの「出会いサポーター」100人を募集していたが、同県児童青年家庭課は「未婚、晩婚化に対する県民の関心は高く、目標の100人に達した。さっそく来月に情報交換会を開きたい」と張り切り、県内で開かれる公的お見合いパーティーの情報もホームページで発信している。
◇滋賀の湖北地域農業センターでは昨年から従来の結婚相談だけでなく、男性向けの恋愛セミナーを開いて女性獲得の秘訣を伝授するなど、少しでも成婚率を上げようと努力しているが、積極的な女性に対し、男性の消極姿勢が目立っている。
◇出会いを求めるのは何も若者に限らない。結婚・交際相手を紹介するインターネットの出会いサイト最大手「マッチ・ドット・コム」に先月、中高年専用ページが誕生した。
 中高年の恋愛や結婚を切り口に、趣味や健康情報などを提供している。同社によると、この1年で50代の会員が2・2倍、60代以上が2・5倍に急増している。高齢者のネット利用率の高まりや、ここ最近増えている熟年離婚―再婚の影響だろう。
◇結婚に前向きなのは男性が40歳代まで、女性は30歳代までというデータもある。明治安田生活福祉研究所の意識調査によると、結婚への意欲は、男性の場合、40代後半までは7割前後を維持しているが、50代前半で約4割と大幅に減退。これに対し女性は30代までは7割が前向きだが、40代前半で約半数に、40代後半に3割強にまで急減する。
 女性は出産の関係もあり、若いうちは結婚に積極的だが、無理と分かればさっさと見切りを付けて「生涯独身計画」をせっせと設計する。一方、男性は「独りが気楽」「そのうち結婚できる」と甘い考えで、だらだらとの未練を引きずる傾向にあるようだ。
 男性諸君、女性はそう気長には待ってくれないようです。

| | トラックバック ( 0 )

2007年09月20日

同対不良債権と滋賀県

 役所というところは、得手勝手なところがあって、都合のいいことは大げさに吹いて回るが、都合の悪いことは隠してしまう。そういう伝統的傾向が行政を暗くし、ややもすると行政不信を招くのではないか、という反省から情報公開法が施行された。
 公開の要請があればそれに応じなくてはならぬから、最近のように政治家の政治資金の報告書のごまかしや間違いが表に出ることになる。
◇最近、気になることの一つは、滋賀県の同和対策融資の焦げつきや返済不能状況に関する隠蔽(いんぺい)体質である。
 中小企業高度化資金制度の中の融資枠の一つに地域改善対策枠として設けられているのが、同和対策事業特別措置法に基づくもので、全国でこれまでに1022億円余が無利子で融資された。この枠は02年3月末、同法を引き継いだ地域改善対策財政特別措置法の期限切れとともに廃止されたが、現在約280億円以上が不良債権化していることが朝日の調査で判明した。
◇9月2日付朝日の社会面にその詳細が報道されているが、気になるのは、全国で地域改善対策の融資を行っている21府県のうち、3府県がその実態を明らかにしていない点である。
 いわば情報公開を拒否しているわけだが、3府県は群馬、滋賀、京都。同紙報道の一覧表によると、貸付残高は全体で388億円、延滞残高は280億円、破綻先債権(回収不能)は125億円。
 この数字は3府県を除く18府県の合計だから、実際はさらに多くなることが予想される。
 同紙の調査で判明したことだが、同対事業の一環として設けられた「地域改善対策枠」による貸付について、21府県で残高の72%に当たる280億円余りの返済が半年以上滞り、不良債権化している。このうち4割を超す約125億8000万円が貸付先の組合の休業か、銀行取引停止処分を受けた破綻先債権であった。
 府県別では、愛知、兵庫、福岡など11県の延滞率は100%、うち長野、岡山、高知、大分、宮崎の5県は貸付残高すべてが破綻先債権だった。
 延滞残高、破綻先債権の金額が最も多かったのは和歌山県で、延滞残高91億9000万円。破綻先債権27億6000万円だった。
◇なぜ、滋賀県は情報公開しないのか。その隠し体質は、県政の不明朗化に通じる意味でも厳しくその責任が問われるべきである。滋賀夕刊が調査した資料によれば、滋賀県の貸付金総額は33億円、うち回収が25億円、未回収(延滞残高)約1億円、債権放棄7億円である。
◇全国的に見ても、滋賀県の場合でもそうだが、無利子で、償還20年以内という温かい措置は、中小、零細企業の経営基盤を強化するのが目的であり、その原資は国民の税金である。それが貸付早々経営破綻したり、返済不能になったり、貸手側の行政のいい加減な対応が問題である。
 奈良県では、20億円の融資を受けた飼料・油脂製造業の食品協業組合が今年7月倒産したが、これまでの返済はわずか382万円。
 兵庫県では、約35億円の貸付金全額が不良債権化していることが分かった。
 情報公開の現時点ですらこの通りであるから、それ以前の同対事業特別措置法制定の69年までにさかのぼれば、どんな不合理やずさんさが通っていたか計り知れない。
 この問題で、滋賀県議会がどこまで真相を追及し県民に正しく情報公開するか注目される。

| | トラックバック ( 0 )

2007年09月19日

想定外の珍事と総裁選

 目下、自民党の総裁選たけなわである。笛吹けども人踊らず、というが、次の総理・総裁選びに通じるのだから、本来は湧きに湧くが、今回は白けきったムードが漂っている。
 それというのも、15日の告示とともに勝敗の予想が確定し、しかも、候補者の政見発表を聞くまでに各派閥のボスが連合して福田候補にしぼったからである。ぼくは15日の時評で「アホらしやの鐘が鳴る」と皮肉ったが、表現の違いこそあれ、国民の声の中には「がっかり」、「裏切られた」、「元の自民党に帰るんか」などなど、批判の目が厳しい。
◇ぼくが一番気にしたのは小泉チルドレンといわれる小泉改革の05年9月1日選挙の当選者たちの動向だった。この改革派は連署して、小泉前首相の再登板を促した。その擁立騒ぎの最中、当の小泉純一郎氏は100%立つことはない、と森派の親分森喜朗元総理に電話した。
 これで、小泉チルドレンの願いは雲散霧消した。
 「署名を50名集めたら必ず小泉さんを出馬させる」と豪語していた飯島政策秘書は、長い秘書生活にピリオドを打って、小泉事務所に訣別した。
◇ぼくは15日の時評で「予期した動きは実らず、むしろ想定外の珍事が起きて、総裁選は白けに白け切ってしまった」と書いた。
 ぼくのいう想定外の珍事は、小泉さんが福田支持を鮮明にしたことをいう。福田さんは「改革は続行しなくてはならないが、ひずみや格差は是正せねばならぬ」という。
 安倍さんも改革を口にした。しかし、国民の目は節穴ではない。改革は総論、魂の入らぬ念仏のようなもので、本心は改革反対なのである。なぜならば、安倍陣営の幹部や大臣は常に改革路線の負の部分を強調して、腹の底から改革を推進する機運は皆無だった。むしろ改革にブレーキをかける動きが党内の主流ですらあった。
 そして、安倍後継の総裁選びとなるや、「やれやれ、小泉の重しが外れた」とばかり、派閥のボスは一斉に立ち上がり、派閥連合軍を組織して、福田丸を立ち上げた。福田丸こそ、反小泉改革の牙城である。
◇いまの自民党の連中はどんな面(つら)して、衆議院の絶対優位の数を自負しているのかその顔を眺めたい。
 05年9月1日の総選挙は圧倒的に自民党が勝ったが、これは全く小泉郵政改革への国民の支持の結果である。
 無名の新人や選挙準備の出来ていない候補が、小泉さんの力強いバックと援護で当選したのは記憶に新しい。当選した彼らはまさに小泉チルドレンであり、国民は小泉改革を信じ、彼らに日本の将来の政治を預けたのである。
 逆に小泉改革に反対し、郵政民営化を阻止しようとした自民党の大物や現職の多くが落選した。
 当選した人も苦戦してやっとのパスだったが、党籍がないから無所属であった。信念をもって改革に反対したのであれば、信念を通せばよいではないか。現に別の党を立てて政治思想に生きている議員もいる。
 ところが、安倍さんは改革反対で党を出た議員の復党を実行した。これは国民への大いなる侮辱である。
 郵政改革賛成か、反対かで国民に問うた選挙である以上、復党は次の選挙の洗礼によるべきであり、それこそが民主主義と国民に忠実な政治手法である。
 そればかりか、麻生幹事長は、改革反対派の落選組ですら復党に理解を見せており、平沼赳夫元通産相と一括して復党させる動きすらある。
 これらの動きは、05年9月に大勝した小泉改革路線をくつがえす策謀であり、明確な改革潰しにほかならない。
◇ぼくが想定外の珍事といったのは、派閥退治の小泉さんが、派閥連合軍の牙城である福田丸の支持に踏み切ったことを指す。改革者が改革の旗をおろして、派閥の親分衆にいい顔をして、あげくの果てに小泉チルドレンの国を思う情熱に水をぶっかけたのであるから、全くの想定外というよりほかはない。
 派閥復活により蘇生した赤鬼、青鬼のしてやったりの笑顔が目に浮かぶが、これでは国民離れが進むばかりである。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2007年09月18日

メタボと食生活(見聞録)

 メタボリック・シンドローム(内臓脂肪症候群)は脳にも影響―。18日付け読売新聞の朝刊が伝えた。高知大の清水恵司教授らの研究チームが、脳の老化、認知機能の低下を引き起こす「白質病変」とメタボとの関係を解き、「メタボの人は脳ドッグで早期に発見したほうがよい」と語っている。
 メタボは内臓脂肪の蓄積により糖尿病、高中性脂肪血症、コレステロール血症、高血圧、動脈硬化などの危険性を高める。要は不健康な食生活と運動不足で体がおかしくなるということ。
 厚生労働省が今年5月に発表したデータによると、40~74歳の男性の2人に1人、女性の5人に1人が、メタボかその予備群と疑われている。脳機能までも低下する可能性があるということで、ますます深刻だ。
◇体脂肪率が30%を超える湖北町の南部厚志町長は、先月から町民の先頭に立ってダイエットに励み、その成果をインターネットのホームページで公開している。
 チャレンジ開始前は身長176㌢、体重101・6㌔、腹囲106㌢と、完璧なメタボ体形。
 8月4日から▽夜遅いときの食事は半分に▽揚げ物の衣をはずす▽お酒を飲んだときはご飯をはずす▽夕食後に1時間、自転車に乗る―といったノルマを課し、町民と一緒にエクササイズ教室に参加しているが、ここ3回は公務のため欠席している。
 リタイアかと思いきや、「ちょっと小休止のようなムードになってしまっています。これから、改めて頑張ります」と続投を宣言している。
 まだ、スタートして1カ月半だが、現在の体重はマイナス4㌔の97・6㌔、腹囲はマイナス2㌢の104・0㌢で、なかなかの成果を見せている。
◇食生活と健康との関係が密接なのは言うまでもないが、独り暮らしや単身赴任のサラリーマンは乱れがち。外食やコンビニ弁当ばかりで、小欄の知人も出張で半年間、ホテル住まいを余儀なくされ、太って体調が悪くなった、と聞かされた。
 ところが、ミツカングループ(愛知県半田市)が今夏、単身赴任中の既婚サラリーマンを対象にアンケート調査したところ、乱れがちと思われていた生活が、意外ときちんとしていることが分かった。
 妻は夫の単身赴任にあたり、▽野菜を多く▽油脂分、お酒、塩分を控えて―と、夫の健康を思いやり、納豆や豆腐、お酢を食べるよう「おふれ」を出している。夫も2人に1人が3食をきちんと食べ、3人に1人が毎日自炊しているという。食生活を気遣う中年男性が増えていることがうかがえる興味深い調査結果だ。
◇近年の健康ブームを背景に、今、「トクホ」(特定保健用食品)が人気を集めている。健康への効果を厚生労働省が審査、認証した食品で、効果や成分が分かりやすく表示されているうえ、身近なコンビニやドラッグストアなどで購入できる手軽さもあって、種類も数もどんどん増えている。現在は703品目、市場規模は6300億円にのぼり、さらなる成長が見込まれている。
 ただ、トクホの研究・調査・啓発を行っている日本健康・栄養食品協会は「健康な食生活の基本は、主食、主菜、副菜を揃えて、いろいろな食品をバランス良く食べること」と説いている。結局、食生活は家庭の食卓から見直すのが一番ということ。

| | トラックバック ( 0 )

2007年09月15日

アホらしやの鐘が鳴る

 アホらしやの鐘が鳴る。これが天下の耳目を集めている。自民党総裁選のぼくの総括である。
 この原稿は、15日の朝書いているが、実は14日の夜に書くつもりだった。なぜ、一晩遅らせたか。14日夜に新しい動きが出て、立候補者が増えるかもしれない。なかんづく、小泉チルドレンといわれる改革派の落とし子の行方が気がかりだったからである。
 しかし、予期した動きは実らず、むしろ想定外の珍事が起きて、この総裁選は白けに白け切ってしまった。
 全国の自民党員はもちろん、国民は唖然として「アホらしやの鐘」を聞くのみである。
◇今回の総裁選、かつて、国民が熱狂的に支持した小泉改革がものの見事に粉砕された。それは国民が過去半世紀、いやというほど見せつけられ、それゆえに国民の怒りの的「派閥政治」が大手を振って登場したことを意味する。
 ぼくは、時評を通じ何回も触れてきたが、国民が小泉さんを支持し、いまなおその再登場に期待するのは、本当の改革の正念場を迎えているからである。
 小泉改革の柱は①派バツの解消②官僚の天下り規制を中心とする公務員改革③行財政改革であった。
 この三本柱をひっくるめて抽象的に言えば国民主体の金のかからぬ政府と政治の実現にほかならない。
 この三つの基本的政策は、自民党の古い体質である派閥の領袖や幹部から猛反撃を受けたし、官僚のサボタージュや抵抗に見舞われた。行財政改革の先頭に立った竹中大臣は集中砲火を浴びた。にも拘わらず、小泉改革は進行し、その内閣は5年半も続いた。
◇今回の総裁選は、反改革の第一クッションの安倍政権に次ぐ歴史的逆回転を目指したところに致命的欠陥を内包する。
 国民はすでに愛想をつかして、半ば失笑の眼で事態を眺めているが、なぜ、自民党が改革を放り出して、白けムードの総裁選に持ちこんだのか。その手のうちを明らかにしておく。
 派閥は、親分を中心に、利権に群がり、地位とポストにこだわり、せっせと金を集めて選挙と票に備え、その虚構の権力により、業界を支配するよう宿命づけられている。
 したがって、派閥政治は必ず族議員政治を生む。族議員は各省庁に深く食いこんで官僚と癒着し、あるときは官僚の下請けになり、その代弁的政治行動をする。あるときは官僚から知らされる情報をねたに談合を指導し、業界から政治資金を吸い上げる。
 親分は政権に足をつっこむから、配下の国会議員を大臣その他のポストや党役員に送り料亭で政治を動かす。
 これがため、官僚の天下りには寛大であり、小泉さんのいう「民でやれるものは官から民へ」には反対する。
◇さて、なんで「アホらしやの鐘が鳴る」のか。せっかく、構造改革が国民に理解されようとしているとき、よりによって、自民党は政策、政見をないがしろにして、派閥の親方衆の密室談合で次期総裁の独走態勢をつくった。「出る」と言外ににおわせた谷垣禎一元財務相はいち早く引っこみ、派閥の総会で出馬を宣言した津島派の額賀福志郎財務相は福田康夫元官房長官との会談をセットされて腰砕けした。
 福田氏は北朝鮮外交で、小泉、安倍と衝突して閣外に去ったいわくがある。麻生太郎幹事長は、郵政改革に反対して党から出た議員の復党に理解を示した。この2人が自民党の総裁候補だが、そこに新鮮さや改革への理想や熱意は微塵も感じられない。つまりは国民不在、党員無視の総裁選というべきである。想定外の珍事は次項に譲る。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2007年09月14日

子の名前と読み(見聞録)

 学生時代の友人に女の双子が誕生した。名前は「希帆(きほ)」と「夏希(なつき)」。3歳の長女が「夏帆(かほ)」という名前なので、「希」「夏」「帆」の3文字を3通りに組み合わせた形。この夫婦、大学のヨット部の先輩、後輩の関係で、2人の馴れ初め、子どもへの期待がうかがえる良い名前を付けたものだ、と感心した。
 滋賀夕刊では「お誕生」を紹介しているが、最近は、漢字の組み合わせが多彩なうえ、その読みがとても複雑難解で、ふりがながなければ、読めない。
 先日、長浜市内でフジテレビアナウンサーの笠井信輔さんが子育てについて講演したが、笠井さんの子どもの名前もユニークだ。上から順に「優之介」「春ノ丞」「涼乃心」。それぞれ、「ゆうのすけ」「はるのじょう」「すずのしん」と読む。いささか奇抜に感じるが、読みは漢字の通り。
◇子どもの名前は、漢字の場合、常用漢字と戸籍法施行規則の別表に定められた人名用漢字(983字)の範囲に限られている。ところが、読み方には制限がなく、漢字とまったく関係のない読みでも問題ない。それが今日の名前の複雑化を招いている。
 8月25日付、産経新聞の社説「主張」は「文字は超がつくほどに高度な公共財産なのだ。もし私的な好みで恣意的に読み替えることに寛容であれば、文字の持つ体系性がなし崩しに崩され、コミュニケーション機能も損なわれ、文字が文字の役目を果たせなくなってしまう」と警鐘を鳴らしている。
◇明治安田生命がまとめた生まれ年ランキングを見ると、子どもの名前の移り変わりがうかがえて面白い。
 人気一番を順に紹介すると、まず男性は、大正元年(1912)が「正一」、同2年が「正二」、同3年が「正三」と続き、その後は「清」(9回)が圧倒人気に。ところが、昭和に入ったとたん、同2年が「昭二」、同3年が「昭三」と、いつかの繰り返し。その後は再び「清」(7回)が盛り返し、「茂」(5回)、「勝」(5回)、「勇」(4回)などが追随。昭和32年に初登場した「誠」は同53年までの間に18回も1位となり、翌54年以降は「大輔」(8回)、「翔太」(7回)などが目立った。ちなみに、昨年は「陸」が初首位。
 一方、女性は大正元年の「千代」の後、昭和39年まで連続して「~子」が続いた。「和子」が13年連続を含め計23回首位となり、以下、「恵子」(8回)、「陽子」(5回)など。昭和58年に登場した「愛」は8年連続、平成に入ってからは「美咲」が6回首位に。一昨年と昨年は「陽菜」だった。
◇滋賀夕刊の「お誕生」「ご結婚」「おくやみ」欄でも、名前からおおよその世代を推測でき、子どもの名前が時代と共に移り変わっていることが分かる。とは言っても、「お誕生」のふりがなと漢字の読みが一致した場合、何かしらホッとするのは小欄だけだろうか。

| | トラックバック ( 0 )

2007年09月13日

安倍首相辞任の醜態

 安倍総理が辞任を表明した。12日の午後はこの突発的ニュースで日本全国が大騒ぎした。
 首相官邸での記者会見によると、①国民の支持、信頼の上で政策を進めていくのが困難になった②民主党の小沢一郎代表に党首会談を断られた。この2点が辞任の理由らしい。
 しかし、なんとも歯切れの悪い、常識では考えられない辞任表明である。
 安倍さんは、精神的に少し参っているのかもしれない。参院選での大敗で、遠からず辞任するとは大方の見方だったが、問題はその時期である。去る10日開会の国会で「改革を進めてゆく」と大見得を切ったばかりである。首相の所信表明に対して、12日から各党の代表質問がセットされていた。その当日になって「辞任するので、代表質問には答えられない」と自民党の国対委員会に申し入れた。
 一体、なんのための所信表明だったのか。国権の最高の場を言いっ放しで、出てゆくのは、蝉の脱け殻同然である。10日の本会議の総理の演説は何の効力も責任もなく、いわば時間と経費の浪費だった。
 一番よい辞め方は、参院選敗北の直後だった。12日から政局は次の総理選びへと回転してゆくが、次の総理は、それこそ胸を張って所信を表明しなくてはならない。
◇賢い安倍さんに似合わず、引きぎわに大ミスを犯したわけだが、政界は文字通り「一寸先は闇」である。
 安倍さんは最後まで辞めたくはなかったであろう。しかし、閣僚の次から次への不祥事や失言で夜のやすらぎも充分ではなかったであろうし、ちぐはぐや、不信呼ばわりされる内政の苦境を外に、外国のお客を迎えねばならぬし、自らもまた海外へ出て外交的手腕を発揮せねばならぬ。眠れぬ夜が続いても首相としてのリーダーシップは一日もおろそかにはできない。
 そういう精神的苦悩は、他者では分からぬが気の強い松岡前農相ですら自殺するくらいだから、安倍さんが「やーめた」とふんぎりをつけたのは、よくよくのことであろう。
◇安倍さんの辞任の背景にあったのは参議院選の敗北だが、直接的な投げ出しの原因は、11月1日に期限の切れるテロ対策特別措置法であろう。
 インド洋での海上自衛隊の補給活動の継続は、アメリカとの外交上の約束ごとであり、国際的にも安倍さんが責任を負う日本外交の最重要課題であろう。
 しかし、参院の野党はいまの状況下では否決する公算が大である。安倍さんは民主党との妥協は図って新法を出す用意をしたり、党首会談による調整に望みを託していたが、小沢代表から拒否され、自らの退陣によって新しい局面を期待したのであろう。
◇ぼくは10日の時評で、「与野党激突と安倍投手」を書いた。
 その冒頭部分に「攻防の次第によっては、安倍内閣の総辞職、あるいは衆院の解散などのハプニングも生じる」と書いた。また後段で「安倍投手は口を開けば改革というが、政策や結果はその逆である。政治と金の不愉快なもろもろの事件は国民の怒りをかっただけである」、「守備の乱れが目立つから気の早い国民は見切りをつけ始めた」とも書いた。
 いずれにしても近く行われる自民党総裁選が注目される。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2007年09月12日

国民に通用しない話

 日本という国は金(かね)の生(な)る木が無尽蔵にあるらしい。
 金の生る木は、伐っても伐っても成長するらしい。その不思議にメスを入れれば、国民の税負担は今の半分ですむかもしれない。
 コンピュータ化で、資料集めや調査が正確に、迅速に行われる時代なのだから、国民の立場に立つ政治家が腰をすえて金の生る木の不思議のからくりを系統的に追及してゆけば蛇(じゃ)が出るか鬼が出るか、心がわくわくするが、どうも日本の政治は、官僚、組合、業界、政治家の癒着というか、伝統的な腐れ縁が災いして、こけにされているのが国民らしい。
◇それを別の言葉で表現すれば悪(わる)の強いもの勝ちという。
 いまから40年前に総評という労働組合の全国組織があった。組織力と中央集権的な統率力がものをいって大きな政治闘争の主役になった。政府との賃上げ、その他の交渉ごとにはものすごいエネルギーを爆発させて、時には政権を左右するほどの威力を発揮した。そのとき国民の間でひそかに口にされたうらみ言を思い出す。
 「むかし陸軍、いま総評」。
 昔は陸軍が好き放題に我(が)を通して、気に入らなかったら内閣を潰したり、不法な戦争を仕掛けたりした。あげくの果ては日本を敗戦に追い込んだ。その陸軍の威力と同じ勢いを持つのが今は総評という組合。いうことを聞かねば、日本の経済はストップしかねないし、かといっていちいちOKしていれば国の台所が立ちゆかぬ。
 そこで石田博英などという組合に人気のある労働大臣らが仲に入り、足して2で割ったり、政策的な貸し借りの取引きをして、ストライキを回避したり、争議の解決を図った。
◇日本は世界に誇る憲法を持つと自慢しているが、それはそれでプライドを持つのは宜しい。それなのに実際の民主主義は機能しているのか、と言えばノーである。
 情報化社会だというのに、いまだに「聖域」という言葉が陰に陽に生きている。聖域は神聖な地域を指す。神社や寺院の境内、神が宿るとされるところなど。
 それが社会的、政治的に転化されて、触れてはならないとされている問題や領域をもそういうようになった。
 民主主義の世に、触れてはならぬ問題などありはしないと思うのは表面のきれいごとで、実はその聖域を逆手にとって、私利私欲に走る不徳漢がある。行政にまつわる不愉快な汚職なども見て見ぬふりをしたり、分かっていても追及しないことなどがあって、正直ものがバカを見たり、役所の不公正や使い込み、横領が闇から闇へ葬られるケースもある。
◇年金の総元締・社会保険庁では3億円とも4億円ともいわれる職員の横領が明るみにされているが、われわれの常識では横領は「逮捕」、「入牢」となるが、この役所は分かっていても刑事告発すらしない。みんなが仲よく助けあいをしているのだろう。
 実際の横領額はもっと、もっと多いかもしれぬが舛添大臣でも手が出ぬ伏魔殿。この役所の労働組合は日本一強いといわれ、不思議なことに中央政府の役所なのに、自治労(地方自治団体労働組合)という府、県や市の組合に加盟している。
◇タレントから知事になった宮崎県の東国原さんは、庁内の「隠し金」を洗った結果、3億円を超えたというが、この隠し金は全国の都道府県などでも問題になったが、ウソの請求書や水増し領収証などのからくりで、公費を内部に貯える行為だが、これも組合が見て見ぬふりをしており、当局と組合、職員の癒着であり、その隠し金は国民の税金の横領である。
 こんな話は各省庁はもちろんのこと、その出先、外郭団体、至るところにごろごろしており、国が補助金を出していたオリンピック委員会ですら億単位の金がわけ分からずに物議をかもした。
 そんなふうだから、政治家の二重、三重の領収証や事務上のミスなどは朝飯前で、とてもじゃないが、われわれのまともなしゃばでは通用しない。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2007年09月11日

琵琶湖の暴走族(見聞録)

 真夏を思わせる先週末、近江舞子の水泳場に出掛けたところ、水上オートバイの傍若無人ぶりに驚いた。4年前に琵琶湖レジャー条例が施行されたことで、多少はマナーが「まし」になっていると思っていたが、危険極まりないライダー達の運転に、あの条例では効果がなかったと瞬時に感じた。
 近江舞子の水泳場では水上オートバイの乗り入れを禁止し、沖合いから遊泳区域への侵入を阻止するためブイを浮かべているが、心無いライダーは遊泳区域内に入り込み、遊泳客をからかうように周囲を旋回したり、子どものそばを猛スピードで走りぬけたり、暴走族顔負けの荒っぽさ。騒音もひどく風光明媚どころではない。
 県の巡視艇が時折、マナー向上を訴えていたが効果は皆無。あまりの危険に遊泳客が110番して警察が出動するありさま。
◇この水泳場、地元の南小松自治会が管理しているが「水上オートバイ禁止のこの水泳場に来ているのはマナーの悪い奴ばかり。遊泳客を追い回したり、暴走族と同じ」と憤り、「警察や県職員が注意しても、その時だけ逃げたり大人しくなるだけで、何の効果もない。大きな事故が起きてから条例か法律で規制されるだろうが、早く全面禁止にすべきだ」と語っている。
◇県はレジャー条例や水上安全条例で航行区域の規制や違反者への罰則を設けている。しかし、琵琶湖の全体を見張れる船も人員もない中で、その実効性には疑問符が付く。嘉田由紀子知事誕生の立役者、寺川庄蔵氏が代表を務める市民団体「びわ湖自然環境ネットワーク」もレジャー条例の改正を訴え、水上オートバイの琵琶湖での全面禁止を求めている。
 北海道や山梨県などの湖では、すでに水上オートバイの乗り入れを全面的に禁止し、静かな湖面を取り戻している。
 県レジャー対策室に「この際、全面禁止する考えはないのか」と尋ねたところ、「全面禁止の考えはないが、嘉田知事のマニフェストで、発着場所の限定や課税の検討がうたわれているので、2010年3月を目標に条例を改正したい」と話している。
◇メーカーや愛好者団体がマナー向上運動に取り組んでいるが、結局のところはライダーのモラル任せ。一部の悪質者のために、まっとうなライダーまで規制することには反対の声があるだろうが、今回の近江舞子を見る限り、現状制度のままのマナー向上は全く非現実的だ。騒音、危険運転、水質汚染と、何一つ良いことはないし、楽しんでいるのはライダーだけで、地元住民やレジャー客は不快と我慢を強いられる。
 地元や市民団体が言うように、いっそ全面禁止にすれば良い。それができないなら、実効性のある条例、法律を定め、ルール違反者を厳しく取り締まるべきだろう。

| | トラックバック ( 0 )

2007年09月10日

与野党激突と安倍投手

 10日から国会が始まった。参院選大惨敗後の与野党の攻防が注目される。攻防の次第によっては、安倍内閣の総辞職、あるいは衆院解散などのハプニングも生じるから目が離せない。
 攻防の目玉は、11月1日に期限が切れるテロ特措置法延期に関する議案と政治と金、年金、天下り規制に関する特殊法人などの改廃であろう。
◇さて、攻める野党は、相手の守備のまずさもあるが、甲子園の阪神ファンならざる全国の野党ファンの熱い声援で実力以上の力を発揮する。
 安倍さんの球は、かなりな速球で、ピッチングの姿勢はオーソドックスだが、なにしろ実践経験が浅く、野党の強打者に狙われやすい。速球でも大リーグで活躍している松坂や阪神の藤川あたりなら、相手を力でねじ伏せられるが、安倍投手にはそれほどの威力はない。
◇速球が通じないなら、投法を改めて、阪神の下柳のような、のらりくらりの軟投型に切り換えればよいが、筋のよい御曹司であるから、真向勝負で大向う(国民)をうならせたいのであろう。
 そう考えるエースの自尊心は分からぬでもないが、もし、国民の信を回復し、一挙に局面を回転させるほどのファイトがあれば、剛速球一本で押し、チームの守備態勢を一新すればよい。
 しかし、軟投に切り換えつつある安倍さんが、今さら投法を逆回転させる勇気があるか。
 ここは先輩の大投手・小泉純一郎の爪の垢を飲むことを奨めたい。小泉投手は、目標を明確に示したあとは、一切の妥協を排して、時にはワンバンドするほどの猛速球にこだわった。
 昔から内憂外患という言葉がある。つまり、チームは内部に欠陥やアキレス腱(けん)を持ち、外からは敵の攻撃にあう。
 小泉投手は内憂に対して、毅然として、例えば、派閥退治を断行した。外患に対しては意表を衝くカーブを交えたり、独演型ピッチングで、野党の打者を迷わせたり、相手方ファンを沈黙させた。
◇安倍投手は、今からでも遅くはないから、小泉流ピッチングに切り換えるべきだが、お坊ちゃん体質がそれを可能にするか。
◇実は、今の日本の政治は、小泉改革の仕上げに向うのか、逆流して、ひと昔前の田中―竹下―橋本流に先祖返りするのか、重大な岐路を迎えている。
 天は先に小泉改革を支持した。国民は天の声に拍手し、六甲おろしではないが、05年9月に自民に大勝をもたらした。
 昨秋から出発した安倍内閣は、自らの気負いとは裏腹に人気は次第細りに下向した。それは手法に小泉改革のブレーキ、ないしはストップ的要素が現れたからである。
 具体的にいえば、派バツの復活を許し、官僚政治と族議員政治への回顧型となった。
 改革を、求める国民の声は素直で正直だった。口で国民を納得させるか、行動で国民の心に応えるか。ここに大投手の分かれ目がある。
 安倍投手は、口を開けば「改革」というが、政策や結果はその逆である。政治と金の不愉快なもろもろの事件は、国民の怒りをかっただけである。
◇自民チームは、お役目ご免のかつての敗戦投手・森喜朗がベンチで勝手なサインを送ったり、イチロー級の俊足、好打、好守備の小池選手を外したり、守備の乱れが目立つから気の早い国民は見切りをつけ始めた。補強選手で唯一、目立つのは舛添厚労相だが、社保庁への怒りが口先だけか、本物か、これも時日が証明する。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2007年09月08日

生活保護と民生委員(見聞録)

 2311億7500万円―。これは大阪市の年間の生活保護費。産経新聞の6日付け朝刊トップ記事で、大阪市が公表した06年度決算を基に分析している。生活保護受給世帯は約8万3000世帯で、その総額は国全体の生活保護費の1割を占めるというから、余りにも突出した金額だ。大阪市は▽高齢者の一人暮らし世帯の増加▽高い失業率▽高い離婚率▽あいりん地区の存在―を巨額の理由として挙げている。
 では、長浜市はどうだろうか。市福祉課によると06年度は456世帯に10億6600万円を支給した。近年は微増、微減を繰り返しているが、10年前の約250世帯、6億円と比べると、大幅に増えている。その背景について、同課は▽景気の影響▽母子家庭の増加▽独居老人の増加―などを挙げており、生活基盤の揺らいでいる市民が増えたことを裏付けている。市では貸付金制度の充実などで保護に頼らない自立生活を支援し、生活保護費の肥大化を防止する方針だ。
◇生活保護費の増加の裏で不正受給も後を絶たない。05年度は国内全体で72億円の不正受給があった。▽収入の未申告▽別居偽装▽高級車所持―など、崖っぷちの生活を送る困窮者をよそ目に、楽するために制度を悪用。自治体では監視の目を強めているが、その影響で本当に救われるべき困窮者が排除されないよう、公正な対応が望まれる。
◇収入の少ない独居老人、失業や離婚による生活困窮者が保護を受けるための窓口となるのが民生委員。
 長浜市では今月4日、民生委員推薦会が開かれ、新民生委員161人が決まった。表向きは、県の推薦で厚生労働大臣が委嘱するが、事実上、推薦会委員の人選で決まり、長浜では地元の自治会に相談するのが慣例となっている。
 推薦会は市議会や福祉、教育、行政など7分野の関係者で組織される。
 民生委員は社会的弱者救済の窓口となることから、その選定には公正、公平が求められるのだが、実は、今回の民生委員の推薦にあたっては一部地域で人選が難航した。というのは、市議を務める推薦会委員(当時)が、「慣例」となっている地元自治会長への相談なしに民生委員を独断で選出しようとしたからだ。
 同僚議員や市福祉課担当者がこの推薦会委員に地元自治会長と相談するよう勧めたが、推薦会委員のみの裁量で推薦することが規則上可能なため、拒否された。
 地元3自治会長が連名で「ルールと人権を無視した選考方法」「承諾しかねる」と市長、議長に事態の解決を求める要望書を出したことで、7月27日に開催された推薦会は紛糾し、結論を出さないまま延期されていた。
 最終的には、自治会長の意向を汲んだ人選でまとまったが、地元には後味の悪さが残った。
 ある推薦会委員は「生活保護を受けるには民生委員の同意がいる。その民生委員が市議の独断で選ばれるとしたら、そこにどういう政治力学が生まれるのか、話すまでもない」と語り、「李下に冠を正さず。議員バッジを付けているならなおさらだ」と指摘している。

| | トラックバック ( 0 )

2007年09月06日

よい波動を伝える幸せ

 仕事冥利というか、仕事を通じて、多くの読者と知りあい、ほめてもらったり、注意してもらったり、誤りを指摘してもらったり、ありがたいことである。
 5日朝、出勤すると、社員から一番に声をかけられた。
 「押谷社長は体は大丈夫か。ときどき時評の代わりに別の人が書いているし、4日(火)も時評が出ていなかったし」と、ぼくの健康を案じての読者の声を知らされた。
 ありがたいことで、こういう熱心な読者の支えこそがぼくの執筆のエネルギーになっているのではないか。
 ご心配をかけて申し訳ないが、ぼくは相変わらず元気じるしそのもので、医者も知らずクスリも知らず。連日、わが執務室は30度を軽く越したが、冷房も扇風機も無縁のなかで執筆したり、雑務や資料に目を通している。
 熱中症にならぬようしっかりと茶や水は飲んでおり、痩せがまんではないが、ファイト盛り盛り、というのが近況である。
◇実は今年に入って後継者対策の一つとして、編集長の押谷洋司君に週一回の見聞録をノルマに課した。
 若いから取材や感性にぼくの及ばない世界があり、読者からもがんばれの励ましの声を聞くようになった。
 もう2年すると滋賀夕刊は創刊50周年を迎えるので、その時点で時評を洋司君に交代する予定だが、急激な切り換えは難しいから、と目下は馴らし運転というところ。
 したがって、ピッチングに少し自信が出かかったところで、ひと踏ん張りして週2回に挑戦しては?と奨めたところ快諾を得たので、とりあえず火曜日と金曜日を見聞録に当てることにした。
◇うれしい話だが、きょうも彦根で活躍している長浜出身の方が、時評の評判がよいので肩身が広いとわざわざ電話をしてくれた。
 ぼくはいつも書いているように独断、偏向、悪筆、勝手三昧だが、なにかしら心が通うのか多くの読者から「毎日読むのを楽しみにしている」と励ましの声を聞く。
◇単細胞で単純なぼくは、ほめて頂くと有頂天になって、薄い脳味噌をしぼるわけだが、読者とどこかで共通するのは、世の中の異常を憂いたり怒ったりする人間の「良心」かもしれない。
 つまりは、正直で、こつこつ働き、みんなが仲よく、健康で楽しい暮らしを、との思いがペンに乗り、その心が活字を通じて読者の心とふれあうのであろう。
◇この間も旧浅井の中川さんというクリスチャンの方が、読んで下さいと久保有政さんの著書「神に愛された国・日本」を届けて下さった。
 新渡戸稲造の「武士道」や愛の実践者・賀川豊彦のこと、その他多くの項目で、教えられるところが多かった。
 今年に入っては真宗の僧侶で、大学教授の田代俊孝師から「悲しみからの仏教入門」を頂戴した。
 天理教の春近教会の佐藤さんからは、ときどき有益な「陽気ぐらし」や「おかげ」の情報を頂いたり、涙の出るような心の糧(かて)に合掌することである。
 人はみな波動を放つというが、素敵な人の波動を頂き、そのお取次ぎをして美しい明るい健康な波動を読者に伝えられればこんな幸せはない。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2007年09月05日

これから農業の課題

 秋風が気持ちいい、といいたいところだが、日中のこのごろの風は生温かい。同じ風でも日当たりの中の風と木の陰や建物の陰では大違いである。やはり昔から緑陰といわれるように、生い茂った木陰での憩い、そこを通る風はたとえ微風でも極楽の風とたたえたい。
◇9月に入っての連日の猛暑は異常というほかはないが、田園の稲のたわわな実りを見ると結構な晩夏でございますと天に向かって手を合わさねばなるまい。
 台風が早めに訪れたせいか、9月は二百十日も無事だったし、この分ならどこの田も風の被害なしに収穫を楽しむことができるだろう。
◇今年の夏は日照り続きで、戦前だったら田んぼは水がなく、ひび割れで、実る前に赤茶けて枯死していたことであろう。
 琵琶湖に水を見ながら、その水を活用できなかった昔の百姓を思うと今の農家は恵まれている。
 ともかく植付期であれ、穂ばらみ期であり、その全生育期を通じて自由自在に水をコントロールできるようになった。
 農業利水の革命的変化だが、そのための水の管理費は一種の税金として経営面積に応じて支払わねばならぬ。
 稲作は水稲といわれるように水がなければ成り立たないが、今日の農業は必然的な機械化の波により好むと好まざるに関わらず大型化してきた。
◇戦後の農業の特徴的変化は農地改革による自作農創設とそれを前提にした農業の構造改善だった。小経営の分散型農業から農地の集団化による大規模農業への進化がそれであった。このための第一歩の施策が土地改良と経営面積の交換、統合整備だった。
 つまり経営基盤を一カ所に集約し、一枚ごとの田の面積を何倍かに広げて、機械の導入とその効率化を図った。
◇起耕、土砕き、代(しろ)掻き、植付、刈取りなどこれまでの手作業の重労働が機械化された。その結果、60歳、70歳の老人や女性でも農業を可能にすることが出来た。
 ただし、その反面、機械の購入費、管理、修理、燃料等の経費を要するようになり、それが農業経営を圧迫することになって、いわゆる機械化貧乏の矛盾を生んだ。
◇しかし、機械化貧乏といっても都市周辺の農家と田舎の農家では所得環境の差が大きく、とりわけ東北や九州、四国の農家は本州中央部の農家との格差は著しい。
 本州中央部や都市周辺の農家はサラリーマンとして働きつつ日曜農業の可能性が確立した。
 だが、そのことは飯米百姓というか、小規模農家の経営を容易にし、経営の合理化と多角化を求める近代的大型農業への足かせとなった。
◇ところが現代の農業に曲がり角がきた。それは飯米農家、小規模農家の廃業機運が生じたことによる。
 少子化と生活環境の変化による若ものの後継拒否が現実化してきた。
 いよいよ、文字通りの大型化農業への岐路にさしかかったが、それに応えられる地域農業の中核農家とその指導力をいかに発掘発展させるかが新しい21世紀の農業の課題となった。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2007年09月04日

病院経営に思う(見聞録)

 今、地方の自治体病院は国の制度改革で赤字や看護師不足にあえいでいる。
 1日付け、滋賀夕刊が報じた通り、市立長浜病院では06年度決算で2億3000万円余りの赤字を計上した。実は長浜病院、地方の公立病院の中では優秀な部類で、今の大戌亥町に移転して以来、移転初年度の1996年、療養病棟の開院した02年を除き、ほぼ黒字を維持してきた。
 しかし、06年度は診療報酬を3・16%引き下げる国の制度改革で、収益が大幅に減少してしまった。木之本町の湖北総合病院も1億1700万円の赤字。産婦人科医不足などで中核病院としての信頼が揺らいでいる彦根市立病院に至っては、どーんと破格の25億円の損失を計上し、目も当てられない状態。
 ちなみに、県自治振興課によると、県内の市町が運営する12の公立病院のうち、甲賀病院以外、すべて赤字決算だという。
 診療報酬の引き下げは、年々拡大する医療費削減のための改革。赤字化した病院は、シビアな経営改革を迫られるだろう。
◇さらに、国は06年度から、看護師配置の新基準を導入している。それは入院患者7人に対し看護師1人(7対1)という手厚い配置にすると、診療報酬を増額するというもの。看護師を増やせば、人件費を上回る診療報酬が得られ、看護師の勤務スケジュールも緩和されるとあって、病院にとってはありがたい限り。結果、全国の病院で争奪戦が巻き起こった。
 しかし、その新基準の恩恵に浴しているのは、都市部や大学付属の大病院だけ。金儲け先行で大量の看護師を囲い込み、地方の公立や中小の病院での看護師不足を生み出している。
 長浜病院でも現状の10対1の現状維持がやっと。7対1なんて夢の話だ。
◇看護師の新規採用の多くは看護学校の卒業生。20代前半の女性がほとんど。彼女らは田舎よりは都会で働きたい年頃だし、地方の自治体病院よりは大学病院というブランドに憧れる。そんな病院から誘いがあれば、乗るのは至極当然のことで、都市や大学病院への集中は止むを得ないだろう。
 ただ、長浜病院も、そういう女心を黙って見過ごしてはいない。ちょうど独り暮らしに憧れる年頃なので、市内にワンルームマンションを手配し、ヨーロッパなどへの海外研修も実施している。
 でも、毎年、結婚や出産による離職者が絶えず、補充のために県内だけでなく中国、四国などへも勧誘。職員は常に人員確保に悩まされている。
◇世界主要29カ国の看護師数(05年度、OECD諸国)を比べると、人口1000人に占める看護師数は多い順に①ノルウェー15・4人②アイルランド15・2人③オランダ14・5人④スイス14・1人⑤アイスランド14・0人―。日本は14番目の9・0人。このほか、ドイツ9・7人、イギリス9・1人、アメリカ7・9人、フランス7・7人。ちなみに最下位はトルコの1・8人。
 この統計の限りでは、日本は先進国の中で中位にあるが、国民の極めて高い高齢化率や高度医療国家であることを勘案すると、看護師が十分足りているとは言えそうにない。
◇なお、厚生労働省の中央社会保険医療協議会は08年に、制度を見直す方針を決めた。7対1基準は維持するものの、必要以上に看護師を抱えている場合には、診療報酬を引き下げるというもの。
 この制度見直しには賛成だが、もう少し地方病院の経営状態、看護師の勤務実態を把握してもらいたい。

| | トラックバック ( 0 )

2007年09月03日

農水省のお粗末大臣

 今日はと書いて「きょう」と読むが、一般には「こんにち」と読む場合が多い。昔の人は、太陽を拝んで「今日さん」と言った。
 古語では、「きょう」とは書かず「けふ」と言い、明治時代の小説にも「けふ」が出てくる。短歌では今でも文語調で「けふ」と書く人が多い。
 「けふ」の次の日は「あした」、「あす」で、あしたは「朝」、あすは「明日」と書く。奈良の地名に「飛鳥(あすか)」があるが「明日香」とも書く。
◇「けふの月」は陰暦8月15日の月、名月を指す。芭蕉の句「三井寺の門たたかばやけふの月」は有名である。「門たたかばや」は、訪ねよう、と強く言い切ったもの、たたくは叩く、戸を叩く、門を叩く。
 人生の「はかなさ」は真宗の御文(おふみ)に「朝(あした)には紅顔ありて夕(ゆふべ)には白骨となれる身」とあるが、言葉を変えれば「けふは人の上、明日は身の上」。今日はひとごとと思っていた苦しみや災難も、あすはわが身かも知れない・・・。
◇国家のことを難しい言葉で「社稷(しゃしょく)」という。社は土地の神、稷は五穀の神、つまり土地と五穀の神、転じて国家の意味に用いる。
 古代の中国から伝わった言葉だが、五穀は国民の暮らしの本であり、なりわいを意味する。土地があって、五穀の神のお陰があって、稔りの秋を迎えることができる。それで百姓は生活出来て、一般国民は食の恵みにありつける。だから土地と五穀の神は国家そのものである、というのである。
 今は産業が多角、多様化しているが、日本はもともと豊葦原の瑞穂の国で、五穀豊穣の国であった。したがって「農は国の本」といわれてきた。
 国の本を担当する政治は以前は農林省だったが、今は農林水産省、略して農水省という。このところ、五穀の神をないがしろにしているのか、大臣が次々と切腹してゆく。
 松岡さんが自死したあと、赤城さんが顔のバンソウコウが取れたと思った瞬間、クビになり、今度は安倍改造内閣の遠藤武彦大臣が辞任した。自身が組合長を務める農業共済組合が補助金を不正受給していたことが発覚したからである。
◇どうやら、農水省には、不吉な曲神(まががみ)がとぐろを巻いているのでは。積年の悪の膿(うみ)が出つつあるのでは、と国民の眼には不可解な何かが映る気配である。
 日本人は家を建てるときや、道路建設など、工事を始める前は「お祓(はら)い」をする。そこに住む悪魔を払うと同時に、施主(工事発注人)の罪、汚れを払い、清める儀式だが、気の早い連中はこのさい農水省のお祓いを、という。ぼくは、神主さんによるお祓いではなく、真に勇気と力のある大臣によっての省内改革が第一のお払いである。
◇農水省は、早くから伏魔殿といわれ、莫大な予算と事業量を抱えて、政治家の利権を漁る魅力のある役所とされている。
 その領域は日本全国の広大な農地のほか、山と列島周辺の海である。
 この役所の管轄する補助金や実施事業は全国に網の目のように組織化されているが、地方や末端には官僚OBが威厳と異彩を放ち、政官財の癒着の構造をほしいままにしている。
◇「けふは人の上、明日は身の上」。五穀の神の怒りたまふ心は、国民の心に政治は「まつりごと」の古代に返れと示されているようでもある。【押谷盛利】

| | トラックバック ( 0 )

2007年09月01日

羊の頭で犬の肉を売る

 政府や政治家は国民に耳障りのよいことをいう。行政改革もその一つであるが、安倍内閣の行革は羊頭狗(く)肉の臭いがふんぷんとする。
 さきの参院選の前に一夜漬けの急行便で官僚の天下り規制を含む公務員法改革を通した。
 しかし、中身は、当初の原案をずたずたに切り裂いて、いわゆる天下り規制を骨抜きにした見せかけの法律で一件落着した。それを自民党は鬼の首でも取ったように宣伝して参議院選のプラス材料にした。
 羊頭の狗肉というのは、インチキを売ることのたとえで、正しくは「羊頭を掲げて狗肉を売る」という。
 羊の頭を看板に出して、実際には犬の肉を売ること。
 看板に偽りあり、外見と中身の違うことを皮肉をこめて非難する場合に登場する言葉で、このごろ流行の偽装耐震建築や偽装牛肉などがそれである。
◇行革担当の渡辺大臣が強い正義感をもって官僚の天下り規制法案をまとめたが、自民党の国会対策委員らは、真向から反対した。渡辺大臣はこれは安倍総理も賛成している法案です。絶対通してもらわねばと言葉鋭く正面突破を図ったが、国対のうるさ型は「やれるものならやってみよ」とタンカを切って、ずたずたに修正させてしまった。
 結局、天下り規制には程遠い第三者的審査機関を設けて、そこで天下りの可否をきめるという一見もっともらしいやり方だが、その審査委員を決めるのが政治家と官僚だから都合のいい委員を委嘱して実質OKを出すことになる。
 つまり規制は看板で、目の粗(あら)い網で魚をすくうようなもので、引っかかる魚は少ない。
◇官僚が行政改革に反対するのは自分らの商売を守ろうとするからである。官僚はそれぞれの持ち場で、仕事を増やし、予算をふやし、人員を増やすことに命をかける。
 だから人員を減らし、仕事を減らし、世帯を小さくすることに反対する。その異常とも思える反対のエネルギーは政治家までもまきこんでこれを味方にする。
 総理大臣が行革を約束し、行革担当大臣を指揮しても、与党の中からこれを潰してゆく見えない動きが活性化する。その反対のエネルギーの震源地が官僚組織である。
◇したがって国政の諸悪の元凶は官僚の綱紀のゆるみと天下り、政官業の癒着といわれながらも行革、すなわち公務員法の改革は出来ないのである。そこで、表面は出来たような形を見せてごまかしてゆく。それが羊頭を掲げての犬の肉売りなのだ。
 政府の決めた行革の原案を役人が反対するのは自分たちの聖域を守るための私利私欲であるが、それに乗せられて政治家が反対するのは政治家の中に官僚出身の議員が多いことを実証する。
◇小泉さんの時代に断行した郵政民営化でも道路公団の民営化でもいよいよ採決のどたん場では、当初の原案をことごとく修正して、酒でいえば水割りして、うすめたものを可決したと思えばよい。
 これからの安倍内閣の行革は、銭(ぜに)食い虫の役立たずの政府系特殊法人の整理や統合、廃止がある。多くは高級役人の天下りと救済用の機関で、役所のOBの聖域である。その実態を明るみに出し、税金の無駄づかいを一掃せねばならないが、死にもの狂いでやった小泉さんのような人でなければ挫折しそうな雰囲気である。

| | トラックバック ( 0 )


しが彦根新聞
滋賀夕刊電子版
滋賀夕刊宅配版
滋賀夕刊デジタルトライアル
“新聞広告の資料請求、ご案内はこちらから"
 
長浜市
長浜市議会