治に居て乱を忘れず
「治に居て乱を忘れず」という教訓がある。太平の世にも戦乱の時を忘れず、準備を怠ってはならない、という意味。
紀元前の周代に作られた易経の中にある有名な言葉で、必ずしも戦乱を想定しての防備意識を強調したものではない。
周は、中国古代の王朝で、前12世紀末に、文王の子・武王が殷を滅して建国した。封建体制をしき、華北平原を支配したが第13代平王の時(前771)西方の犬戒(けんじゅう)の攻略を受けて東遷し、都を洛陽に移した。前256年、秦(しん)に滅された。東遷以前を西周、以後を東周といい、東周の約500年を「春秋」「戦国時代」と呼ぶ(大辞泉)。易経は、天文、地理、人事、物象を陰陽変化の原理によって説いた書で、孔子が集大成したといわれるが未詳。
◇ぼくが、いま、紀元前の周の時代からの教訓とされる「治に居て乱を忘れず」を持ち出したのは、言わずにいられぬ絶叫と思ってもらえばよい。
いま、北京で、北朝鮮の核廃絶をめぐって、6カ国協議が世界の視聴を集めているが、外から眺めていると、どうやら北朝鮮ペースで事態がおさまりつつある。法外な経済援助を条件に出している北朝鮮について、それを渋るアメリカに対して、中国、ロシアが寛大で、韓国は北寄りである。日本は安倍首相が当初から拉致問題を持ち出し、これの前進がない限り、経済制裁は続ける、と強い姿勢だったが、中国、ロシア、韓国によって、蚊帳の外にされつつあり、孤立化の恐れさえある。
◇なぜ、こうも、北朝鮮に振り回されているのか。自由国、民主国のとりでを誇るアメリカが弱腰になりつつあるのは、イラクの治安が泥沼化しているからである。莫大な戦費と軍を派遣しているアメリカの苦悩はベトナム戦にたとえられている。抜き差しならぬイラク問題を抱えて、さらに北朝鮮に軍事行動の圧力をかけることはアメリカ国民が許さない。そのアメリカの弱点、足元を見抜いての北朝鮮の強行姿勢であることを知らねばならぬ。
◇ニセドル、麻薬密輸、拉致、その他、ならずもの国家としての北朝鮮については、国内での人権無視、食糧、エネルギー、医薬品不足などで瓦解寸前といわれる程の政権であるが、人民をスパイの監視下に置く独裁体制なるがゆえに国家体制を維持している。
いま、6カ国協議が、北のいうままに、大型支援し、エネルギー、食糧、その他を送れば、死寸前の患者にカンフル注射するのと同然で、蘇った北朝鮮が世界の平和にどんな脅威をもたらすか、一目瞭然である。
◇そこで、一番、関心を持たねばならぬのは日本である。六カ国が表向きは世界の平和を念頭に置くも、掘り下げれば、各国、それぞれの国益がからむ。
中国、ロシアは、もともと北とは友好関係にあり、朝鮮戦争では軍事協力した間柄でもあり、現在も、兄と弟の関係にある。アメリカは世界戦略の上から、核戦力をならずもの国家に許さじの姿勢だが、それは、平和と民主主義と人権を守る立場から独裁国家の侵略を阻止する使命観でもある。
これら3カ国に対して、最も敏感に北問題を抱えているのが、韓国と日本である。
しかし、韓国は、金大中前大統領以来、親北政策を発展させ、現在は韓国内の世論を親北勢力がリードする状態になった。韓国内の親北派は、北と呼応し、無血、統一政府を目論むほどになり、いわゆる北の独裁政権で統一される運命を歩みつつあるのだ。
このような分析に立つとき、日本はどうあるべきか。日本の治安と日本人の安全をどう守ってゆくか。このような差し迫った大問題に、案外、のんきなのが今の日本人であり、日本の政治家である。そのことを言いたくてペンを執ったわけである。
2007年02月13日 13:58 | パーマリンク
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