滋賀夕刊新聞社は滋賀県長浜を中心に政治、経済、文化の情報をお届けする新聞です。



日本の宗教と技術力(見聞録)

 先週、エジプトの「ラマダン(断食月)」の様子に少し触れたが、中東の人々の生活はイスラム教の精神に根を下ろし、国民性は温かく家庭的。シルクロードの歴史が香る中央アジアの国々から、過激な原理主義者によるテロで危険なイメージが付きまとう中東国家まで、イスラム教徒の温和さは旅行者の間でもっぱらの評判。
 旅行中の宿泊は、必ず安宿を求めるので相部屋に案内されることが多く、そこで各地からの旅行者と情報交換する。その時々、互いの宗教の話が話題に登るのだが、胸を張って自国の宗教を紹介できず、説明に戸惑った経験が多々ある。
 1月は神社で初詣、8月はお盆、12月はクリスマス。七五三のお宮参り、結婚式はキリスト式で、葬式は仏教―と日本の特異性を説明するのだが、他宗教に拒否感を抱かない無宗教的な考えに「変な国」と片付けられてしまう。
 文化庁の「宗教年鑑」によると、日本の宗教の内訳は神道系の信者が1億0600万人、仏教系が9600万人、キリスト教が200万人、その他1100万人。合計で2億1500万人。でも、「あなたの宗教は?」と聞かれると、日本人の半数が「無宗教」と答えるそうで、トータルすると日本の人口は4億人を超えてしまう計算。「変な国」と誤解されるのもうなづける。
◇宗教のほか、話題に上るのは日本製品。自動車の「トヨタ」「ホンダ」「スズキ」、家電製品の「ソニー」「ニンテンドー」などを挙げ、何の資源も持たないアジアの小国が第2次世界大戦の敗戦から世界有数の経済大国にまで発展したことに、日本の技術力の高さと、勤勉さを評価してくれる。
 外国人旅行者の評価はともかく、今の日本の技術力、果たしてこのまま世界の最先端でいられるのか、見通しは不透明ではないだろうか。7日付け「滋賀夕刊」の記事で、子どもの理科離れ解消のため、神照小学校の教諭の取り組みを紹介したが、この理科離れの問題は最先端の技術力に支えられてきた日本経済の将来にとって深刻な問題。インドや中国などの後進国が急成長する中、日本で技術者育成の芽が摘まれているのは、将来の技術競争において劣勢に立たされることを意味するのではないか。このまま理科離れが進めば技術者や研究者が2000年の270万人から、2050年には170万人にまで減るというデータもある。
 国際教育到達度評価学会の調査によると、日本の子ども達の理科のテストの得点は、小学4年で25カ国中3位、中学2年で46か国中6位で、共に上位にある。しかし、「理科は楽しいか?」の質問に対して、「強くそう思う」は小学4年で45%(国際平均55%)、中学2年で19%(同44%)。理科の興味が国際平均を下回るだけでなく、中学生になると急減していることが分かる。さらに、理科の勉強に対する積極性は、中学2年の国際平均57%に対し、日本はたった17%。テストを目的にした暗記勉強の弊害がうかがえる。
◇では、この理科離れを教育現場はどう考えているのか、長浜市小中学校教育研究会理科部会の部会長を務めるびわ南小の八木善勇校長に話を聞いた。八木校長は「今の教科書は内容が理論的で、面白みに欠け、子ども達の興味を誘わない」「テキストだけに頼らず、実験や体験、観察を増やすことが大切。暗記学習に比べれば、テストの点数は一時的に下がるかもしれないが、長い目で見れば良い効果があるはず」と説明してくれた。
 さらに、家庭での課題も指摘して頂いた。「テレビゲームばかりで、昔のように竹トンボを作ったり、虫捕りで遊ぶことが減り、不器用な子どもが増えた」と。
 八木校長が「理科はモノ作りの基本」と語るように、今の日本が今後も技術大国であり続けるには、テストや受験向けの暗記教育を改め、家庭での遊びのあり方を見直す必要がありそうだ。

2007年02月09日 13:58 |


このエントリーのトラックバックURL:
http://www.shigayukan.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/179

過去の時評


  • 1月 26日(金)  【グラスギャラリー・マヌー】
     ガラスのお雛様展(~3月4日)
  • 2月 10日(土)  【大通寺】
     馬酔木展(2月10日~)
長浜市
長浜市議会
長浜観光協会