橋の寿命、住宅の寿命
国交省が、橋の老朽化に対応するため、その耐用年数を60年から100年に延ばす、いわゆる橋の長持ち制度を4月から導入するという。
国交省の調べでは、建設から50年以上経過する橋は18年度で全体の6%にすぎない。高度成長期に建設された橋が老朽化するのはこれからであるが、短期間に集中的に橋を改修するとなれば財政負担が重くのしかかる。事前に手当てをして、橋の寿命を長くさせようというのであるから、使い捨て時代に似合わぬよいアイディアではある。
◇現在の橋を点検して、早期に欠陥部品を改修したり、弱体化を防止するのはよいことだが、それ以上に大事なことは、建設するときの完全な設計とそれに基づく建設の監理であろう。
最近、大手企業のごみ焼却施設、下水道工事における談合事件が大々的に報道されたが、早くから土の下の工事は検査が届かない、といわれ、業者の甘みの目のつけどころとされてきた。
建物のように露出部分の多い施設は設計の疑いや手抜き工事などが表面化して問題を呼びやすいが、道路、河川、下水道、橋、ダム、港湾など、いわゆる土木工事は目に触れない部分に施工の重点がかかる。したがって談合などによって受注した業者の手抜きの対象になりやすい。
◇建物においてもホテルやマンションの耐震構造が問題化したとき、やり玉に上がったのはコンクリート柱の中の鉄筋の厚みや、量であった。一たんコンクリートで固めれば内部の鉄筋工法がどう処置されているか分からない。設計通りの施工は当然であるが、実際は下請け、孫請けの段階で、工費を安く上げるため手抜きされるケースも間々あった。
設計通りの施工をするため設計監理制度が置かれているものの、実際の監理は施工業者の癒着でなおざりにされるケースもあり、どこまで監理が徹底しているか疑問である。
この点は、建設関係事業すべに当たり、再検討すべき課題であろう。
◇ところで、橋の寿命もさることながら一般公共物、建築類の耐用年数はどうなっているのだろうか。小・中・高校などは、戦後の物不足時代の建築が多いので、早や早やと建て替えさせられたが、総じてそのころの建物はお粗末だった。
橋が100年なら建物も100年は大丈夫と言いたいが、今の建物で、それ程の寿命を信じるものはだれもあるまい。
◇最近の住宅は見た目は外国のモダンな建物そっくりで、確かに形や色彩感に夢はあるが、さて耐用年数はどれくらいだろうか。こころみに知り合いの専門家に聞いたが、大体、25年くらいでしょうと、こともなげにいう。
「へーい」「そんなもんですか」と、びっくりすると、「それくらいで建て替えするんとちがいますか」。
これは専門家の話だから真実味がこもる。
木材はほとんどが外材であり、それも乾きの悪い生々しいものを使う。大工仕事もかつての職人技はなく、極めて大ざっぱで、建てて、4、5年でガタがくる。左官工事は影もなく、紙細工の延長のようにビニール板の上に塗装する。
◇業者の話によると、建てたものが、そこに何年住むのか、息子や娘が大きくなったらどこかへ建て替えて移るか、さもなくば、老後、家をあけて、息子の家へ引きとられてゆくか、施設に入って、わが家は結局壊されてゆく。25年ももてばよろしいやろ。皮肉にも家族制度の崩壊が家の建物の短命に象徴されている。それが今ふう住宅。
2007年02月05日 16:03 | パーマリンク
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