便利のお陰で何もろた
今の世は文明文化の花ざかり。この世に生きるわれわれは千載一遇の幸せものというべきだが、ひと皮むけば地獄に直結しているといえぬこともない。
大自然の脅威はともかく、人と人、国と国が憎みあい、殺しあい、人が人を信じられぬ、言わば人以下の末期的症状が現れ始めた。
◇末期的現象、諸悪の根源は何か。ナンセンスと言うべきか、自己矛盾か。諸悪の因は文化生活のもたらした「便利さ」による。
以下、ぼくはエン魔大王から人間界への通信を傍受した。問うているのはエン魔、答えているのは人間。
「人間どもは便利さを求め、快適、快適と有頂天になっているが、なんじゃ今のさまは。便利のお陰で何もろた」
「便利のお陰で時間をもろた」
「時間のお陰で何もろた」
「退屈もろた」
「退屈のお陰で何もろた」
「遊びをもろた。夜も昼も」
「遊びのお陰で何もろた」
「バクチに漫画、カーに酒、IT時代もそのお陰」
「ほかにもいろいろもろたやろ」
「変な病気や気の病(やまい)」
「まだまだあるやろ何もろた」
「脳みそ薄くしてもうた」
◇この問答を聞きながら神さまが涙を流しつつ「ほんにあわれや今の世は、あちこち事件があと絶たず。意味なく人が人殺す。犬畜生より劣る道。ゆめ遠からじ人間崩壊」。これは恐怖の神意である。
◇いま、アメリカでは桜が咲いて、早くも春かとびっくり仰天しているが、南極大陸では氷が解けつつ、生物に大きな影響を及ぼしている。
6日、7日、日本を襲った爆弾的大嵐はエルニーニョ現象によるのでは、と言われているが、地球の温暖化がこのまま進めば、途方もない不幸に人類が苦しむであろうと予見されている。
◇今年の日本の新成人は日本の人口100人に1人の割合で、その率は最少であることが分かった。
ぼくは成人式から帰る男女を京都で見たが、男か女か分からぬ顔や装束の姿を見かけたし、思わず顔をそむけるほどの化物のような女性を見た。
男性の中にも親の顔が見たいと思われるようなひどい格好のものもいた。恐らく親も口出しが出来ないのであろう。うっかり「そんな格好をして」と咎めようものならバットで殴られるかもしれない、という不安があるのかもしれぬ。
着るもの、身につけるもの、格好、その他、若者には若者らしい好みがあって当然だが、それはあくまでも人の常識の許容範囲であるべきで、見る者が嫌悪の気持ちや不快感をもつような服装や髪、化粧は避けるべきだが、それを親が指導できず、放任しているとあれば、子供のころからのしつけにさかのぼる。
◇教育しかり。学校現場のいじめや暴力、不登校その他の憂うべき状況は年々ひどくなるばかり。一つは学校側の教師の責任だが、それ以上に家庭のしつけに問題がある。
それは便利を求める文化生活が知らず知らずのうちに一家団らんの美風を潰し、家庭崩壊の因になっているからである。
他殺、自殺、強盗、放火、その他の破廉恥な事件、そして問題のいじめも、みんな、脳の狂いから生じていると見るべきで、これは他の病気と違って、クスリでは治らない。生活の根本にまで立ち至って考えねばならぬことである。
2007年01月10日 18:13 | パーマリンク
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