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そのまんま氏の当選

 21日、投開票された宮崎県知事選、ひょうたんから駒ではないが、日本国中が唖然とする面白い結果が出た。
 ぼくは皮肉にも面白い結果と表現したが、それはまさに面白さを売りものにしてきたタレントにふさわしい勝利であった。
◇「そのまんま東氏」強し、の評判は選挙の中盤戦以降、ささやかれ始めた。そのまんま氏は「改革」を叫んだが、これまたふざけた話とも思えるくらいの「そのまんま」が当選するのだが、あらためて選挙民の意識の変革を冷静に読みとる必要がある。
 そのまんま氏は、名は「そのまま」だが、政策や政見は、そのままではなく、改革であった。そのままの名を大胆に打ち出したから逆に、改革の心が強くアピールできたのかもしれない。
◇この選挙、泡食ったのは、政権党の自、公両党と、優秀な元官僚をかついだ民主党だった。
 政策的には、すぐ使いものになる元官僚や前官僚を避けて知名度のあるタレントを選んだ宮崎県民は、平成7年、大阪府民の選択したノック知事以来の選挙旋風をまき起こした。
 あのときは西にノック知事、東に青島東京都知事が生まれて、地方にお笑い政治を持ち込んだが、結果はどうだったか、有権者の期待ほど改革の効果があったかは疑問である、任期後半の青島知事は都の役人のいうままだったし、ノック知事は女性へのセクハラがたたって泣く泣く椅子を投げ出した。
◇ただ、青島やノックの勝利には東京、大阪といった大都市の若ものたちや女性たちの時代を先取りする意識の新鮮さが大いに寄与した。したがって、タレントの選挙は都市型であるかのように思われていたが、それを見事にくつがえしたのは、田舎も田舎、九州は南部の宮崎県だった。
 それを踏まえて、選挙と候補について、一考察するのも無駄ではないだろう。
◇「そのまんま」というような人を食った感じの名でも、堂々と当選できるのは、これまでの常識である地盤、看板、鞄(かばん)が平成の世には必ずしも通じないことを証明した。
 別の見方をすれば、改革という強烈な政見に対しては、それにふさわしい型破りの名前や選挙戦術がぴったりなのかもしれない。
 今一つ、考えねばならぬのは、選挙そのものに対する選挙民の意識の変化である。
 いわゆる「かみしも」をつけて、ぎょうぎょうしく儀式ばったものではなく、ジーパン姿のラフな格好での選挙や政治を求める風潮がこれかもしれない。
 言葉を換えれば、選良政治から、大衆政治。エリート政治から庶民政治への流れといってもいい。
◇名は体を現すで、お笑いタレントなどが国政に参画したり、地方の首長になって、政治を明るく分かりやすくするのは大いに期待したいが、テレビや舞台で観衆にアピールするような感性だけで政治は動くものではないから、ややもすると役人に振り回される恐れがある。
 立候補した初志の「改革」「刷新」をどう実現するか、それを選挙民は厳しく眺める必要がある。

2007年01月22日 13:59 |


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