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心の砂漠化に慈雨を

 妹殺しや夫殺し、あげくの果ては、遺体を切断するばらばら事件。一夜明ければ何が起きているか。毎日毎日、次から次へと凶悪な事件が発生している。
 ぼくは、この憂うべき姿を末期的現象に限りなく近づいてきたと警告を発し続けているが、殺人事件ばかりでなく、人間の生命に関わる食品犯罪が半ば公然と大手メーカーの手によってなされていたことを知り、その根の深さに驚愕した。
◇菓子の大手メーカー・不二家の事件は製造過程における幹部、従業員の良心の麻痺といってよい。
 良心の麻痺は道徳や法を守る心の麻痺だから、こういう会社幹部や従業員の手によって食品が製造されているのであれば、今後もこういう不安な事件は不二家に限らず、どこの企業で発生するか、心配の可能性は高い。
 ただそれが巧妙にごまかされているか、事実が隠蔽されて発覚しないかの違いであり、不二家の事件は氷山の一角と考えられぬこともない。
◇なぜ、そういう事件が起きるのか。
 これは食品業界だけではない。過去にも自動車業界の欠陥車騒動、あるいは瞬間湯沸かし器の事故、さらにはアスベスト(石綿)被害など、忘れたころにつぎつぎと国民の生命がおびやかされてきた。
 メーカー側はその都度、頭を下げ、幹部が処分されたり、被害補償に応じたりしてきたが、そのよってくる原因はひたすらなる、あくなき利潤追及であった。
 「えらいこっちゃ」と内部で分かったとき、素直に反省し、商品を回収し、誠意を見せるのがこれまでの商業道徳だったが、それが麻痺した。
 つまり儲けのため、欠陥や傷、危険性については口をつぐみ、知らぬ顔の半兵衛を通してきた。欲得一筋で、国民の生命は眼中になかった。
 商品管理に対する規則や法律があって安全性が保障されているはずにも拘わらず、内部で、その発覚や疑いを封じることは金もうけ本位、自社の利益本位そのもので、このような良心の麻痺は、急速な経済成長がもたらした副産物で、公害と表裏関係にある時代的病根といえよう。
◇子が親を、親が子を殺す事件を筆頭に跡を絶たぬ殺人、放火、強盗など凶悪事件もまた良心の麻痺による。
 大企業の利潤追及の結果の欠陥商品や不法商品なども同じく良心の麻痺であるが、なぜ、このような人間の本来の美徳である良心がおかしくなってしまったのか。
 心の砂漠化にいかにして慈雨を降らせるか。なごやかな緑をよび込むか。そのことが今の世と次世紀を救う緊急事であるが、その処方箋はあるのか。
◇ぼくは15日の時評で、「人間の原点に立ち返り、文明への反省と母性の裸の愛、農耕社会の祈り」を提案した。
 それについての見解を次項でのべてみたい。

2007年01月17日 12:53 |


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過去の時評


  • 1月 26日(金)  【グラスギャラリー・マヌー】
     ガラスのお雛様展(~3月4日)
  • 2月 10日(土)  【大通寺】
     馬酔木展(2月10日~)
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