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32兆円に思う(見聞録)

 32兆円。病気やケガの治療のために医療機関に支払われる国内医療費の総額だ。ますますの高齢化社会に伴って、加速度的に増えることが確実視されているが、その費用、税金だけでは賄えず、病気を誘発しない健康的な日常生活を心掛けることが望まれている。
◇今、長浜市内では認知症予防のために、お年寄りが子ども達に絵本を読み聞かせるボランティア活動に取り組んでいる。頭と体の老化予防、そして生きがいを求める活動。今年で3年目を迎え、43人の会員が参加している。地域ごとのグループで、計画の立案、物語の暗記、発声練習などに取り組み、月に1~4回ほど、小学校に出向いている。
 この取り組みは長浜市が呼びかけたものだが、東京都老人総合研究所も一枚噛んでいる。子どもへの読み聞かせ活動が、お年寄りの健康にどのような影響を与えるのか、身体や心理状態を分析。東京都中央区、川崎市多摩区での取り組みと合わせ、その効果を調べている。
 先日、同研究所の医学博士・藤原佳典氏が、その効果を解説してくれた。同氏は高齢者の健康や介護といった分野の第一人者で、この事業の成果を論文で発表している。結論は、ボランティア参加者の日常生活の中で、子ども、友人、知人との社会的交流が増え、自身の健康にも自信がついたというもの。認知症予防、いわゆる「ボケ防止」への効果を導くには、長期観察が必要なため結論を保留したが、参加者からは「喜びと責任による緊張感がある。日々の生活の中に大きな希望ができた」(72歳男性)、「ボケずに一生を過ごせるかも」(68歳女性)、「年齢に関係なく『わくわくする気分』になれることは、老化防止につながる」(69歳女性)など、明るい声が出ている。
 お年寄り自らが、生きがいを見つけ、心身の健康に心掛ける―。団塊世代の一斉退職と、高齢化の加速の中、求められていることではないだろうか。
◇日本の娯楽、パチンコ産業も32兆円にのぼる。2006年版「レジャー白書」によると、05年のパチンコ・パチスロ店の売上は28兆7490万円。遊戯機、関連機器メーカーの売上を含めると、ゆうに30兆円を超える。都会、地方を問わず、どこにでもパチンコ店が乱立し、夜になればネオンの嵐。地方都市の駅で降りれば、パチンコ店と消費者金融の看板だけ、というのはよく聞く話。娯楽として嗜(たしな)む程度なら可愛いが、パチンコ依存症や、ネグレクト(育児の怠慢、放棄)、借金地獄は深刻だ。そんな社会問題など「どこ吹く風」なのか、長浜市内でもパチンコ店と、消費者金融の無人店舗が増え続け、ギャンブル―キャッシングの悪循環が増している感がする。
◇地方(都道府県+市町村)の税収も32兆円という。そして地方公務員の人件費は31兆円。埼玉県志木市の前市長・穂坂郁夫氏は著書「市町村崩壊」の中で「企業だったら完全に倒産状態にある」と話す。国も含めて財政健全化には、サービスの縮小、経費削減が不可欠で、それをしなければ大増税も避けられそうにない。
 医療、福祉費が増大し、少子化で税収が伸び悩むなら、増税もやむを得ないが、カネのあるところから税金を取ってくれ、とも思う。4月に行われる県議選では、ある立候補予定者が公約に「法定外目的税」としてパチンコ税の導入を掲げている。目的税化し、障害者・老人福祉に活用しようとのユニークな発案。もし、国民の時間とカネを浪費するパチンコ業界が、税金を通して福祉に貢献するならば、32兆円産業であり続けてもいい?

2007年01月26日 14:26 |


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過去の時評


  • 1月 26日(金)  【グラスギャラリー・マヌー】
     ガラスのお雛様展(~3月4日)
  • 2月 10日(土)  【大通寺】
     馬酔木展(2月10日~)
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